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脳のふしぎ-神経心理学の臨床から [本(脳科学]

『脳のふしぎ/山鳥重/そうろん社/2003』
著者:神経心理学
評価:脳障害の現場から心とは何かを探る。良書。

本は、著者がいろいろなところで書いたものをまとめたもの。
前半は、脳障害の臨床の場の話だが、
後半は、心とは何かという深い話へと展開していく。

ジャクソンの定理
破壊病巣は決して陽性の効果を生むことはなく
陽性症状が出現するための陰性条件を作り出す。
ある場所が破壊されたからといって、
その場所の機能がすぐわかるわけではないわけ。

右半球損傷者の疾病否認。
これはどうも言語障害の一種でもあるようだ。
質問に合うようにその場限りの答えを出しており、
本当の体験を表現していない。
反響言語ではないが自動性と状況依存性がある。

拒食症患者にも疾病否認があるように思えるけども、
こちらも何らかの形で脳が異常が出ているのかもしれない。

心とは何か?
心の特徴は完結性。
どんな状態でもそれで全体であり、
欠けていると感じるのは他人から見たときのみである。

英語で考えるとき、心というものはとても表現しにくい。
英語には心に対応する言葉がない。
その部分を示す言葉しかないからだ。
mind, heart, soul, spirit……、みんな心の構成要素だ。

心の完結性と禅の関係。
禅は今を徹底的に生き切ることを教える。
今を生き切ることができれば死は死ではない。
道元の『正法眼蔵』にも、生死のなかに仏あれば生死なしという。
心はある意味ではすべてを蔵して無欠という。

著者が挙げる脳からみた心の特徴
・過程性
・同時性/並列性
・階層性
・状況依存性
・範疇化作用
・意味の生成
・図式の生成

ロボットが心を持つかという問題は、
これらの要素を持つことができるかということでもある。

・今日の二言
心はすべてを蔵して無欠である。
Mind has everything and allness.
마음은 모두를 소장하고 무결하다.
灵魂无所不包完美无缺。

生死のなかに仏あれば生死なし。(道元)
When Buddha is in your life and death, you have no life and death. (Dogen)
생사 속에 부처가 있으면 생사는 없다. (도겐)
若生死中有佛,便能无生死。(道元)

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