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現代中国の産業(中公新書) [本(中国事情]

『現代中国の産業』
丸川知雄(中国経済)
中公新書(2007)


中国の産業の真の強みを探る。
安さだけじゃないらしい

今や世界に中国の製品があふれる。
ノートパソコンの6割以上は中国製。
携帯やテレビの4割は中国製だ。

南方節税ルートによる輸入方法とは?
香港経由で密輸する。すると、税関で一度没収される。
没収品は競売にかけられる。
それを輸入側が落札して持ち込まれる。
これがすべてが何と出来レースなのだ。
こうして、1992年は、
輸入VTRの70%、カラーテレビの20%が密輸されていたという。

この本の主張は、中国産業の特徴は垂直分裂ということ。
日本はある製品を作るとき一つのメーカーが全部作る傾向があるが、
中国では、それぞれの部品を生産するメーカーや
組み立てるメーカーがバラバラなのだ。

これは製品差別化の強い日本と、
価格競争力を優先する中国の違いらしい。

日本のメーカーも中国では中国方式になる。
郷にいれば郷に従え、といったところか。

日本メーカーは中国メーカーの黒子になっているという。
中国のテレビのICは日本製だし、
家庭用エアコンのコンプレッサーも日系メーカーが強いのだ。

日本発の製品が日本で広まらず、中国で広まったケース。
PHSとVCDは日本で生まれ中国でヒットしたのである。

日本企業は求める機能を作り出すために製品を作るが、
中国企業は選んだプラットフォームから何を作れるか考える。

林語堂は次のように言っている。
"西洋人は進取と創造の能力に優れ、中国人は享受の能力に優れる"
中国人は既にあるものを使うことに優れ、それを楽しむ存在なのだ。
これがまさに企業行動にも表れているといえる。

なぜ中国人はそのように行動するのか?
おそらくは、中国という地域があまりに不安定で流動的だからだろう。
何か起こるのかわからない予測不可能な国であり、
しかも常にその規模が巨大なのだ。
楽しみを取っておく、
美味しいものは最後に食べるのでは馬鹿を見るのが中国である。
すると、他社の力を利用して取りかかりやすい産業から参入し、
基幹部品は複数の他社から調達することになるわけ。

自動車産業の閉じられた垂直分裂。
自動車産業では、なぜか小さなメーカーが乱立している。
市バスは市政府や地方政府の交通局が、
傘下のバスメーカーからバスを買う。
決まりとはいえ、これは癒着というべきと思う。

・今日の二言
中国製電気製品の基幹部品は日本製だ。
The key parts of electrical appliances made in China are made in Japan.
중국 전기 제품의 기간 부품은 일본제이다.
中国制造电器的基干零部件是日本制造的。

郷にいれば郷に従え。
As the Romans do.
입향순속.
入乡随俗。

タグ:丸川知雄
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