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確率とデタラメの世界-偶然の数学はどのように進化したか [本(数学]

『確率とデタラメの世界』
デボラ・J・ベネット(数学者)
白揚社(2001)


面白い数学書。
確率の歴史と偶然の意味を知る。

ダニエル・カールマンのタクシー問題
タクシーの交通事故があった。
目撃者は青いタクシーと証言した。
その町のタクシーのうち、
85%は緑で、15%が青である。
さらに事故現場での
目撃証言の正確さを確認すると正答率80%であった。
すなわち、青のタクシーでも20%は緑と答え、
緑のタクシーでも20%は青と答えた。

では、交通事故を起こしたタクシーが青である確率はどのぐらいか?
確率の知識のないほとんどの人は、80%と答える。
実は、約41%であり、緑のタクシーである確率が高いのだ。

これが有名なベイズ確率のパラドックスの例。

もう一つ。
a.子ども二人の家庭がある。一人は女の子だ。
子どもが二人とも女の子の確率は?

正答は1/3である。

b,では、子ども二人の家庭で、上の子が女の子とわかっている場合、
子どもが二人とも女の子の確率は?

正答は1/2である。

c.子ども二人の家庭で、一人は女の子だ。
そしてあなたはその母と女の子が一緒にいるのに出会った。
一緒の女の子は娘だという。

子どもが二人とも女の子の確率は?

正答は1/2である。

a.b.c.ともにほとんど同じに思えるのに確率が違うのが面白い。
主観確率と客観確率の違いからくるパラドックスである。

リヒャルト・ウィルヘルム
運命を変える方法を問うことにより『易』は占いから知恵の書になった。
『書経』では、占いは数人指名し、3人なら2人が一致する方を選ぶ。
2番目の意見を探すわけ。
占いの結果を額面通りに受け取らず、熟慮する義務があるのだ。

ペテルブルグ・パラドックス
コインの表が出れば1シリングをもらう。
表が出てお金をもらえるまで続けることができる。
もらえる金額は一回ごとに倍になる、1⇒2⇒4⇒8⇒....とする。
この儲けの期待値はいくらか?

ほとんどの場合、1~8シリングぐらいで終わってしまうが、
計算上の儲けの期待値は無限大である。

実際に2047回のゲームを実験すると平均5シリングの儲けとなる。
ゲームの終わるタイミングを長くすると、
それだけ期待値が大きくなっていくのである。

フォン・ノイマン
四則演算で乱数をつくりだそうとするものは、
神に背こうとしているのだ。
コンピュータで乱数を作るという、
決定論的な式が乱数列を生成するという矛盾。

ランダムとは?
結果がランダム、過程がランダム、影響がランダム。
さまざまに考えられる。
πの十進法展開のランダムさ。しかし生成過程はランダムではない。
コンピュータで乱数を作るのもそうだ。

スペンサー・ブラウンは、
ランダムとは過去から次が予測できないことであり、
観測者の心理、見る人に与える影響のことという。
偶然とはただ初期条件を知らないことなのだろう。

・今日の一言(ガリレオ)
自然の本は数学によって書かれている。
The Book of Nature is written in mathematical characters.
자연의 책은 수학 기호로 씌여 있다.
自然的书是用数学的语言写成的。

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杉田洋

はじめまして。乱数に関する数学のページを公開しています。ぜひ、お立ち寄り下さい。
by 杉田洋 (2008-12-13 01:38) 

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