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アメリカの政治と科学-ゆがめられる「真実」 [本(農業と環境]

『アメリカの政治と科学』
マイケル・ガフ(健康リスク評価、環境健康政策)
昭和堂(2007)


企業の立場から真実を歪め直す。中立ではないので注意。

アメリカの科学を巡る政治闘争を知る。
環境問題を過小にしたい企業と過剰反応する民間団体との戦い。

毒物学の基本
用量が毒性を決める。
どんな化学物質も毒性を持つ。
日常の食材でも取りすぎれば毒性を持つのだ。
逆に低い用量ならどんな毒物も安全なのである。

癌を減らすには果物と野菜を取ること。タバコを吸わないこと。
これは明確である。

スリーマイル島の事故。
漏洩した放射能の量は健康への影響を全く無視できる程度だった。

ダイオキシンが癌その他の疾病の原因とする
説得力のある証拠はないという。

ベトナムで使用された枯葉剤が人間に有害とする情報はない。
検討されるのが米軍の兵士の話のみ。
現地の被害者については言及がなく
アメリカ人にとってベトナム人が人間に入らないのがよくわかる。

DDTの使用禁止がマラリアを再燃させた。
レーチェル・カーソンの告発が
発展途上国でのマラリア被害を増やしたというわけ。

環境ホルモンが男性の生殖能力を低下させるとする科学発見は
ほとんど否定されたという。

原子力発電の有用性。
資源の節約になるし、経済的であるとする。
かなり誇張されているようだ。

ゴア副大統領の告発。
温室効果に疑問を持つ科学者は化石燃料業界から財政支援を受けている。
このことをマスコミで発表しようとしたが受け入れられず。
正義は守られたのだと、この本は記す。

化石燃料業界からの財政支援自体は否定していないのが面白い。
この本もまた企業側から書かれた宣伝文書なのだ。

実際、対立する立場の分析や主張に対する反論はほとんどなく、
それが間違いであることがはっきりしていく歴史、として描かれている。
「と」本に多い形式なので、どこまで信頼していいのかは不明である。

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