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「法令遵守」が日本を滅ぼす(新潮新書) [本(日本の問題]

『「法令遵守」が日本を滅ぼす/郷原信郎/新潮新書/2007』
著者:検事
評価:化石のような会計法と歪んだ独禁法の遵守の問題性を語る

公共調達の入札の制度は明治22年から変わっていないという。
明治憲法よりも古い法律で公共事業が準備されているのである。
さらに、国家公務員倫理法のため、
官庁の公務員と民間人の接触が少なくなり
官庁の認識がズレが大きくなっている。
その結果、法令の運用と実態の乖離が深刻という。

談合では、業者の話し合いにより、
技術力や信用の問題のない業者が選定されて落札された。
談合は合理的なシステムであったとする。
そもそも公共工事では契約段階では対象物はできておらず
これから工事する。
オークションのように安く落札できればよいわけではない。
安全性や価格など総合的に決めなければならないのだ。
またもともと犯罪になる談合と犯罪にならない談合があった。
価格公正でなかったり不正に利益を得ると犯罪であるが、
そうではない談合は犯罪ではなかったのだ。
ところが、談合に厳しくなることで、
公然の談合が非公然化し、そのコントロールが失われてしまったのだ。

談合に対する独禁法の運用の制裁強化と、
近年の建築物の手抜き工事は無縁ではないという。
競争を激しくすると、金銭的に安くするため、手抜きになるようだ。

高度成長を支えた有能な官僚による政策立案。
これは経済学では否定する声が多い。
官僚が何かするとすべて足をひっぱるものだとされる。
もちろん、官僚とは本質的に経済成長を邪魔するものであり、
日本の官僚は世界で最も邪魔しなかったということかもしれない。

コンプライアンスとは社会的要請への適応。
障害者のための施設を作らなかった東横イン。
その東横インの支配人のほとんどが女性である。
これは、女性の力を発揮させるという社会的要請は満たしたが、
障害者のノーマリゼーションという要請は無視していたということ。

著者の提案は、社会的要請に敏感な眼を持つ組織を作ること。
会社側への提案である。
しかし思うに、そもそも根っこの法律を改正するべきと思うのだが……

『農村の幸せ、都会の幸せ/徳野貞雄/生活人新書/2007』
著者:地域社会学、道の駅の命名者、食と農の専門家
評価:農村復興の運動宣伝を兼ねた本

九州の赤とんぼの95%は中国からくるらしい。
そんなに長距離を飛んでくるのに驚き。

穀物自給率は28%、カロリーベースは40%。
著者は28%が実像だという。
ちなみに飯田泰之は金額ベース自給率70%を挙げている。
この考え方の違いが面白い。

夫婦別姓にすれば娘から家系が残るという。
だから、家名を残すという観点を主張する人こそ
夫婦別姓に賛成すべきとする。
発想の転換が面白い。

・今日の一言
公正取引委員会が独占禁止法の運用を厳しくした。
The Fair Trade Commission strictly applied the anti-trust laws.
공정 거래위원회가 독점 금지법의 운용을 엄격하게 했다.
公正交易委员会严格适用反垄断法了。

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