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ユーザーイリュージョン [本(脳科学]

『ユーザーイリュージョン/トール・ノーレットランダーシュ/紀伊國屋書店/2002』
著者:科学ジャーナリスト、科学評論家
評価:物理学から意識までを情報科学で結ぶ・良書

ゲーデルの定理の影響
永久機関が作れないことを示す。
何かランダムなものに秩序があるかどうかは
絶対にわからないことを示す。
情報理論とゲーデルの関係というのは初めて聞いたな。

知識を物質界の一部とする学問、思考の熱力学について。
情報の獲得にはコストがかからない。
得た情報を捨てるのにコストがかかる。
情報を消すとエントロピーが増加するのである。

エントロピーとは世界の混沌度。
ポーカーの弱い手がエントロピーの高い手
ポーカーの強い手がエントロピーの低い手
ロイヤルストレートフラッシュなどはとてもエントロピーが低いわけ。

ボルツマン
エントロピーとは特定のマクロ状態に呼応するミクロ状態の数の現れ。
言語定義に対する物理的構成数のパターン。
エントロピーの概念は
どのマクロ状態を想定しているか説明しないと無意味。

情報を捨てるとは、その情報を使うということ。
情報を使うのはもちろん、その情報について知っているから使える。
どのマクロ状態を想定しているかとは、
どう使うかということ。

脳の代謝の活性化は機能的活動ではなく
その活動結果からの復旧に必要なもの。
これもまさに情報の消去といえるかもしれない。

エントロピーは空間と時間の関係でもある。
エントロピーの低い状態とは、
データの圧縮ができるということでもある。
空間状態と時間的表現に変えることができるということだ。
3次元データを4次元データに変えるということだ。
これはまさに記憶である!
エントロピーの低さとは空間が持つ記憶ということもできよう。

ある意識を経験するとはそれが過去のものということ。

意識の本質は短期記憶であり、作動記憶である。
これら、意識、短期記憶、作動記憶は、
同じ実体を違う角度から切り取っただけである。

ユーザーイリュージョンとは、ユーザーが描くコンピュータのイメージ
私たちの意識とは、自己と世界のユーザーイリュージョンだという。
意識とは世界のイメージということ。

リベットの禁止説・意識とは禁止するときに生じる。
抑止が意識を生むというのは、
哲学者のチャン・デュク・タオや
『言語と意識の起源/チャン・デュク・タオ/岩波書店/1998』
それを人工知能論として展開した喜多村直らも述べている。


『ロボットは心を持つか/喜多村直/共立出版株式会社/2000』

リベットの実験
脳を出し抜くため出し抜けにスイッチを押してみても、
準備電位がその前に記録される。意識が生じるのに0.5秒かかる。

脳が意識というイリュージョンを生み出すと考えているようだが、
実は、これはカテゴリーエラーである。
意識現象というものは、脳現象より時空間構造における単位が大きい。
ここには最初から因果関係が成立しない。
因果という言葉の持つ意味が正しく理解されていないのだ。

『時間はどこで生まれるのか/橋元淳一郎/集英社新書/2006』
著者:SF作家、物理学
評価:エントロピーがよくわかる・後半はすっかりSF作家状態

赤という色は波長およそ700ナノメートルの電磁波が、
人間の網膜中の視細胞を刺激しそれを脳が感じる現象という。
これは少し説明不足。
色覚障害者の色認識を考えよう。
上記の内容を持っていても色の認識は成立しないのだ。
色の認識には過去の経験が必要なのである。

事象とは、時空図上の点
世界線とは、二つの事象を結ぶ線
すべてのモノの動きは時空図上の世界線で表せる。

相対論
時間は実数・空間は虚数。
光の速さが絶対的な物理量。
他者と共通の今は存在しない。

過去、未来、現在でもない非因果領域がある。
ミンコフスキー図による両サイドがそれ。

意識とは空間的にも時間的にも広がりをもつ。
色や温度は身体と環境の相互作用による生物学的感覚という。

ただし、本当は著者が想定するより時間の幅が広い。

スピンを観測するとプラスかマイナスかになる。
それはどのようにしてか。この観測値を決定するのは誰か。

これを考えるには、観測機器というマクロな物体といえども、
ミクロの物質の集合であることを考えることが重要。
観測機器にもミクロな物質としての波動状態があるからだ。

宇宙初期のエントロピーが極小なのは宇宙が小さかったから。
その宇宙が広がる全体からみれば一点に集中しているわけだから、
エントロピーは極小なのだ。
エントロピーは、対象の操作範囲を考える必要がある。

・今日の一言
記憶とは空間を時間で表現すること。
Memory is expressing space through time.
기억은 공간을 시간으로 표현하는 것이다.
记忆是在时间中表现的空间。

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