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日中関係-戦後から新時代へ(岩波新書) [本(中国事情]

『日中関係-戦後から新時代へ』
毛里和子(現代中国論)
岩波新書(2006)


戦後の日中外交史。

中国が文化的に対外膨張したことはあっても、
軍事力を使うことは少なかったという。
長い歴史と見ればそういえなくもないが、
共産党政府にしぼると
とても真実ではないので紛らわしい表現だ。

靖国問題での小泉支持は、
他国にとやかく言われてやめるのは
腹立たしいというムードという。
その通り。しかし、安部の対抗馬たちは理解していないようだ。
隣国に配慮して参拝しないというのだから。
政教分離違反だから行かないと言わなければ支持は増えないだろう。

中国の対日政策の大原則。
一部の軍国主義者と被害を受けた国民と分ける二分法。
そのシンボルとしてのA級戦犯がある。
これを譲ると大衆の情緒的民族主義を煽ってしまい、
共産党政権の正当性を損なうのだ。

当たり前のことだが中国にも世論がある。
ただしそれは、情報統制が難しくなった比較的最近にできたものだ。
世論などなかった時代は、靖国参拝に反対しなかった。
だが今は世論が無視できないので反対せざるを得ないのである。
中国人で靖国神社(英語名:war shrine)を好ましく思うものなどいない。

世論の対立、葛藤と矛盾をいかに解決するか?
相互の国のメディアの役割が重要になる。

世論というのは、正しさとは全く異なる。
太平洋戦争が始まったとき、日本人は喝采したのだ。
しかし、GNPが20倍もあるアメリカと戦うという無謀に、
軍事知識のある専門家は負けるのが当然と正しく理解していた。
正しく知識を備えているものは正しい判断を下すことが出来る。

当時の世論は情報不足からくる認識不足であるが、
現代は情報過多からくる、情報の偏りが問題である。

現代の特徴はインターネット。
ネットは、既存メディアと独立しているように見えるがそうではない。
ブログにしろ掲示板にしろ、
ほとんどがテレビと新聞に対する批判であり、
独自の記事があるわけではない。
ネットは新しいメディアでも何でもなく、
ただテレビと新聞の影響力をいびつな形で増大させるだけなのである。

ネットにより突然増幅されたテレビと新聞の影響力に対して、
それが自分たちの力であることの自覚がなく、
どこに向かうかわからないことが問題なのだ。
ネットの世論を作っているのはテレビと新聞なのである。

『膨張中国』
読売新聞中国取材団(読売新聞の記者たち)
中公新書(2006)


読売新聞の連載。中国の貧富の差を知る。

ソウルの料理店の60%は中国産キムチを使用。
あら。

2001年のマニラ郊外。
救急車が覚醒剤を運び
町長の公用車が護衛していたという。
フィリピンってひどいことになってるなあ……

北朝鮮は地下資源の宝庫。
鉄鉱石30-40億トン、石炭は230億トン、
モリブデンやタングステンも豊富で、中国が狙っているという。
そういえば、日韓併合について、
朝鮮半島など資源もなくお荷物になるだけで、
ロシアの南下がなければ欲しくなかったというのを読んだが、
思いっきり矛盾しているな。

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