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日本語の論理、英語の論理 [本(英語学習]

『子どもの英語学習/山本麻子/風間書房/2005』
著者:日本人児童の英語習得の研究者
評価:英語圏児童とバイリンガル日本人児童の英語発達の違い・良書

日本語の影響で英語発達がどのように影響を受けるかを知る。

世界の言語は多く二つに分かれる。
オペランド・オペレータ言語とオペレータ・オペランド言語である。
機能語-対象語の英語や中国語。
対象語-機能語の日本語や韓国語である。

英語圏児童と日本人児童の違いは、
VO/Aの発話が遅いこと。
動詞+副詞句、動詞+目的語の組み合わせを使わないのである。
日本語では動詞は最後なので、
動詞で始まる文が頭に浮かばないわけだ。

日本人児童の冠詞の正しい使用は、
調査期間中に90%を越えることがなかった。
やはり子どもから学んでも難しいものは難しいのである。

『英国の国語教育/山本麻子/リーベル出版/1999』
著者:日本人児童の英語習得の研究者
評価:解説書

英国の教育の社会通念。
"子どもは話すことによって学ぶ"

『高校生のための論理思考トレーニング/横山雅彦/ちくま新書/2006』
著者:カリスマ英語教師、琉球空手師範
評価:論理の暴走、検証力欠如の「と」本。妄想の羅列。

ここまで"考える"と"調べる"のバランスの悪い本も珍しい。
本を出版する前には、
他の英語の先生やネイティヴに確認しましょう。

日本語の曖昧さを指摘するが、
英語を日本語に直すとズレがあるから曖昧になるのは当たり前である。
日本語から英語にしたら、英語が曖昧だというケースもある。
著者が挙げた、抽象も捨象も abstractionで、
客体と対象も object にしかならないというのはその例であろう。

日本語は省略の多い言葉だという。
しかし、日本語から見れば英語にも省略がある。
英語は日本語の助詞の"は"、"が"、"を"が省略されているのである。
そして、その省略のかわりに語順を固定し、代名詞を使うのである。
そのために英語では、
指示代名詞と承前代名詞の区別ができないようになっている。
さらに、天気の it や、存在を示す there など、
何の意味もない言葉を置かなければならない。
英語は実に無駄の多い言語である。

日本語にこうした論理語がないのは、
もともと論理が備わっているから不要なだけである。

論理とは英語の習慣だと言い切るが、
英語でも小説や記事は論理的に構成をするわけではない。
日本語だろうが英語だろうが、
論理的になるかどうかは使い手の問題である。
英語から日本語を見るから日本語が非論理に見えるだけで、
日本語から英語を見れば英語も非論理になるに過ぎない。

英語と日本語の論理構成の違いで重要なのは、題目である。
世界の言語は、題目と主語の構成で4種に分類される。

題目◯主語◯:日本語、韓国語
題目◯主語×:中国語
題目×主語◯:英語など印欧語
題目×主語×:タガログ語


題目とは、日本語で"~は"と示される言葉である。

日本語は難しい。
漢字を使うし、カナもある。
時にアルファベットも使う。

こういう文だと、題目としてすべて頭に"日本語は"が隠れている。

日本語は難しい。
(日本語は)漢字を使うし、カナもある。
(日本語は)時にアルファベットも使う。

英語では、冒頭に主語があり、二つ目の文からは代名詞を置く。
日本語は題目の助詞"は"があるので、
代名詞や性や数などは不要なのである。
かわりに、日本語で形式段落を立てるときは、
題目を統一させることが良い文章の条件となる。

日本語の形式段落と英語の意味段落を比較しているが、これも変。
そもそも日本語の形式段落に対応するのは、
英語の1つの文章であり、英語の段落ではないのだ。
実際に書かれた英文を見れば、
日本語に比べて1つの文章が長すぎると感じられるはずだ。
この違いを理解しない英語の翻訳者が多い。
そのため、非常に長い日本語の翻訳文を作って、
しばしば読者を苦しめるのだ。

著者は言う。
英語の I'm sorry. とは、本当に自分の方が悪かった、
自分に完全に非があるという意味だという。
ふーん、すると、相手の親が亡くなったときに言う、

I'm sorry to hear that.

も、自分が悪いわけ?
もしかして俺が相手の親を殺したのか……知らなかった。(笑)
辞書や、グーグルで検索した限りでは、
違う使い方がいくらでもある。
sorry の意味はむしろ日本語のすみませんに近く、
裁判などのアメリカの社会制度が原義をねじ曲げているのだ。

"貴様"や"尼"は褒め殺しの腹芸だという。
単なる歴史的変遷だろう。漢字を意識して話す人間などいない。

中国人や韓国人はもともと騎馬民族だという。
歴史の勉強しなおすべし。

漢字による造語とカタカナ表記を挙げ、
日本語現代文は英語の翻訳としてできたという。
たったそれだけじゃ飛躍し過ぎでしょ。

現代文の問題は筆者にしかわからないという。
あなたの国語能力が低いだけです。

現代文には論理的説得のための道具がない、
代名詞や性や数がないという。
それは論理とは何の関係もなく表現の限定性の問題です。

江戸時代まで移動の自由がなく
集団から排除されることは死を意味したという。
これも間違いで、意外に流動性が高かった。
『逃げる百姓、追う大名/宮崎克則/中公新書/2002』
を読むべし。

著者が外国の空手道場の生徒に、今は亡き先生の思い出を語る。(p112)
そして、先生に会ったことがあるかを相手に質問した。
Have you met the last Sensei?
相手はとまどった表情で答える。
He is dead.
変なことを言ったのかな。
でも文法的に完璧に正しいはずと思い、言い換えてみる。
Did you meet him?
すると、No, I didn't. と答えてくれた。
著者は言う。
そうか、現在完了形はあくまでも現在形なのだ。
Have you met him?は、いま会うかも問題にしている。
現在完了形は現在的に置き換えられるものでなければならないと。

はあ?
これは現在完了の問題なんだろうか?
Have you met the last Sensei? は、
Have you met the last Sensei yet
すなわち、"今は亡き先生にもう会いましたか?"
の意味なので、
先生は亡くなりましたよ(He is dead.)と答えたのであって、
正しくは、
Have you ever met the last Sensei?
と言わないといけないんじゃないかなあ……
この先生、ホントにカリスマ英語先生なの?

通告:科学哲学(検証理論に詳しい)と言語学の勉強をすること。

(参考)
『認知文法論Ⅱ-シリーズ認知言語学入門5/中村芳久,編/大修館書店/2004』

タグ:山本麻子
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コメント 1

NO NAME

『高校生のための論理トレーニング』ではなく、
『高校生のための論理思考トレーニング』ですね。
まぁボクも間違えて検索してここにたどり着いたんですけど(笑
by NO NAME (2006-10-12 01:25) 

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