ヤバい経済学-悪ガキ教授が世の裏側を探検する [名著再掲] [本(経済学思考法]
『ヤバい経済学』
スティーヴン・D・レヴェット(経済学者)
東洋経済新聞社(2006)
犯罪や違反の経済学。文句なく面白い!
親の出迎えの遅刻に悩む保育園、
遅刻に罰金を取ることにした。
その結果は?
なんと遅刻が増えてしまった。
これはよくわかる。
私は図書館でたくさん本を借りるが、
延滞料金を取っている私立のアジア図書館では、
毎回のように延滞している。
お金を払うことで罪悪感が消えてしまうのだ。
経済学はインセンティヴ=誘因を扱う。
インセンティヴには3つある。
経済的誘因、社会的誘因、道徳的誘因である。
遅刻の罰金は、道徳的誘因を
それより弱い経済的誘因に置き換えてしまったケースである。
さまざまな誘因の組み合わせを
統計的手法で解きほどくのが経済学の真髄というわけだ。
心理学、社会学と経済学の違いは手法の違いで、対象の違いではない。
ということは、それぞれの技法を連動させれば
より優れた分析ができるはずである。
本来学問とは、対象に対して分類されるべきであって
手法で分類されるべきではない。
誘因とはすなわち感情である。
感情というなら、私の提示する感情進化の体系が最も詳細なので、
こうした社会問題にも役に立つのだが、
なかなか広めることができないのが残念に思うところ。
1987年アメリカで700万人の子供が消えた。
税務署の税金申告の扶養者の子供に、
申告だけでなく社会保障番号が必要になったため。
アメリカ政府もずさんだよな。
セルフサービスでお金を払うベーグル屋さん。
9.11から回収率が2%上がったという。
あの事件は道徳的誘因をも生み出したのだ。
白人至上主義者のKKKを弱体させたのは、スーパーマンだった。
KKKの秘密をスーパーマンのシナリオに使わせることで、
悪の組織であるというレッテルを貼り社会的誘因を与えたのである。
良い家の宣伝は具体的な物質の描写をするが、
悪い家の宣伝は抽象的である。
イメージに訴えるだけで具体性がない宣伝は疑わしいものだ。
選挙の事前調査と実際の違い。
白人至上主義者は事前調査より得票率が20%高い。
黒人候補者は事前調査より15ポイント近くダウンした。
事前調査ではみな人種の平等に基づき答えるが、
実際の行動では違うのである。
おそらくは嘘を言ったわけではないだろう。
黒人に投票すると言った人は、思想的な理由でそう言っただけで、
本当は選挙に興味がなく、投票所に行かなかったのだと思う。
ヤクの売人は貧乏だ。自給3.3ドルでしかなく、4人に1人は死ぬ。
ニューヨーク市の殺人率は90年に10万当たり30.7人だったのが、
2000年には8.4人になった。
ジュリアーニの割れ窓理論によるものだ。
……とずっと聞いていた。
ところが違うらしい。
90年代はそもそもアメリカ全土で犯罪が減っていた。
すなわち、何もしなくても90年代は犯罪は減ったのだ。
ではなぜ犯罪が減ったのか? その答えは?
1973年のロー対ウェイド裁判の結果、中絶が合法化されたためだ。
犯罪を犯す確率の高い人たちが生まれてこなくなったのである。
中絶ができれば生まれてこない子ども、
親に望まれず生まれる子どもは犯罪者になるリスクが高く、
そうした犯罪者予備軍の激減がアメリカから犯罪を減らしたのである。
家庭にプールがあるために子どもが死ぬ確率は、
銃が家庭にあるために死ぬ確率の100倍。
プールというのは案外管理が難しいものだ。
コントロールできないリスク要因は、
コントロールできるリスク要因ほど怖がられない。
保険という商売が成り立つのもこのためである。
黒人と白人の所得格差は教育格差。
黒人家庭の教育の質がよくないのが原因である。
子どもの試験の点とテレビ視聴時間に関係ないという。
テレビそのものが悪いというのは妄想である。
テレビにより他のことをする時間が失われるのが問題なのだ。
高齢者のみなさん、テレビを一日5時間も見てはいけません。
一日平均2時間以内にしましょう!
人生がもったいないですよ。
・今日の一言
プールの殺人能力は銃の100倍である。
수경장의 살인능력은 총의 100배다.
游泳池的杀人能力是枪的100倍。
The swimming pool has about 100 times the killing power of the gun.
スティーヴン・D・レヴェット(経済学者)
東洋経済新聞社(2006)
犯罪や違反の経済学。文句なく面白い!
親の出迎えの遅刻に悩む保育園、
遅刻に罰金を取ることにした。
その結果は?
なんと遅刻が増えてしまった。
これはよくわかる。
私は図書館でたくさん本を借りるが、
延滞料金を取っている私立のアジア図書館では、
毎回のように延滞している。
お金を払うことで罪悪感が消えてしまうのだ。
経済学はインセンティヴ=誘因を扱う。
インセンティヴには3つある。
経済的誘因、社会的誘因、道徳的誘因である。
遅刻の罰金は、道徳的誘因を
それより弱い経済的誘因に置き換えてしまったケースである。
さまざまな誘因の組み合わせを
統計的手法で解きほどくのが経済学の真髄というわけだ。
心理学、社会学と経済学の違いは手法の違いで、対象の違いではない。
ということは、それぞれの技法を連動させれば
より優れた分析ができるはずである。
本来学問とは、対象に対して分類されるべきであって
手法で分類されるべきではない。
誘因とはすなわち感情である。
感情というなら、私の提示する感情進化の体系が最も詳細なので、
こうした社会問題にも役に立つのだが、
なかなか広めることができないのが残念に思うところ。
1987年アメリカで700万人の子供が消えた。
税務署の税金申告の扶養者の子供に、
申告だけでなく社会保障番号が必要になったため。
アメリカ政府もずさんだよな。
セルフサービスでお金を払うベーグル屋さん。
9.11から回収率が2%上がったという。
あの事件は道徳的誘因をも生み出したのだ。
白人至上主義者のKKKを弱体させたのは、スーパーマンだった。
KKKの秘密をスーパーマンのシナリオに使わせることで、
悪の組織であるというレッテルを貼り社会的誘因を与えたのである。
良い家の宣伝は具体的な物質の描写をするが、
悪い家の宣伝は抽象的である。
イメージに訴えるだけで具体性がない宣伝は疑わしいものだ。
選挙の事前調査と実際の違い。
白人至上主義者は事前調査より得票率が20%高い。
黒人候補者は事前調査より15ポイント近くダウンした。
事前調査ではみな人種の平等に基づき答えるが、
実際の行動では違うのである。
おそらくは嘘を言ったわけではないだろう。
黒人に投票すると言った人は、思想的な理由でそう言っただけで、
本当は選挙に興味がなく、投票所に行かなかったのだと思う。
ヤクの売人は貧乏だ。自給3.3ドルでしかなく、4人に1人は死ぬ。
ニューヨーク市の殺人率は90年に10万当たり30.7人だったのが、
2000年には8.4人になった。
ジュリアーニの割れ窓理論によるものだ。
……とずっと聞いていた。
ところが違うらしい。
90年代はそもそもアメリカ全土で犯罪が減っていた。
すなわち、何もしなくても90年代は犯罪は減ったのだ。
ではなぜ犯罪が減ったのか? その答えは?
1973年のロー対ウェイド裁判の結果、中絶が合法化されたためだ。
犯罪を犯す確率の高い人たちが生まれてこなくなったのである。
中絶ができれば生まれてこない子ども、
親に望まれず生まれる子どもは犯罪者になるリスクが高く、
そうした犯罪者予備軍の激減がアメリカから犯罪を減らしたのである。
家庭にプールがあるために子どもが死ぬ確率は、
銃が家庭にあるために死ぬ確率の100倍。
プールというのは案外管理が難しいものだ。
コントロールできないリスク要因は、
コントロールできるリスク要因ほど怖がられない。
保険という商売が成り立つのもこのためである。
黒人と白人の所得格差は教育格差。
黒人家庭の教育の質がよくないのが原因である。
子どもの試験の点とテレビ視聴時間に関係ないという。
テレビそのものが悪いというのは妄想である。
テレビにより他のことをする時間が失われるのが問題なのだ。
高齢者のみなさん、テレビを一日5時間も見てはいけません。
一日平均2時間以内にしましょう!
人生がもったいないですよ。
・今日の一言
プールの殺人能力は銃の100倍である。
수경장의 살인능력은 총의 100배다.
游泳池的杀人能力是枪的100倍。
The swimming pool has about 100 times the killing power of the gun.
2011-01-03 04:00
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