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デフレの正体-経済は「人口の波」で動く [本(日本の問題]

『デフレの正体-経済は「人口の波」で動く』
藻谷浩介(地域振興アドバイザー)
角川oneテーマ21(2010)


タイトルが「日本の本当の危機」だったら
なかなか良書なんだが……
デフレの正体というタイトルをつけてしまった以上、
」本だと言わざるを得ない。

デフレという言葉を、
単に理解していないだけと考えれば別に問題ないのだけども。

・潜在成長率の拡大と縮小
・好景気と不景気
・インフレとデフレ

それぞれ別物で、
それぞれの組み合わせが理論上すべて可能なのである。

著者は、自分の思いこみを経済学者に質問したものの
馬鹿にされて相手にされず地方講演で素人相手に演説しているらしい。
巻末には"私が本も読まずに自分で思いついたこと"を平気で書くなど、
学者としての誠実さなどは全く持ち合わせていないようだ。
……まあ学者じゃないんだから当然だけど。

著者の理屈はこうである。

生産年齢人口=消費者人口の減少
⇒供給能力過剰⇒価格競争の激化⇒GDPの低下

ちょっと思考力があれば、すぐ変だと感じるだろう。
なぜ生産人口が減るのに、生産より消費が先に減るのか?(笑)

人口オーナスにより生産人口が減少すると、
消費よりも生産が先に減少する。
退職しても年金があるので消費は急激には減らないからだ。
すなわち、生産がまず低下するのだ。
消費より生産が低下すると供給が需要を下回る。
インフレとともに経済が縮小するのである。

人口オーナスの効果はデフレ不況ではなく、
インフレの不況である。
ところが日本に起こっているのは
デフレ不況である。人口オーナスの効果はまだこれからなのだ。

日本が今なぜデフレなのかは、資産と収入の不一致が原因である。
人というのは、本質的に資産やお金を同一に保とうという傾向がある。
人は、持っているお金の範囲で、収入に合わせて使うのである。

そのため、高所得者が資産家であり、
低所得者が貧乏な国は景気がよくなるが、
低所得な資産家がいたり、
高所得なのに資産がなかったりする人が多い国は、
景気が悪くなる。

日本の税制が資産保有を有利に、
お金を稼ぐことを不利に変更されてしまったまま、
改正されていないためだ。

おそらく問題は、投資とは貯蓄の一種であるのに、
あたかも投資が消費であるかのような誤認識を広める
"エコノミスト(偽経済学者)"のポジショントークにあるように思う。

ケインズは不況対策を3つ挙げている。
公共投資、金融政策、税制改革である。
それぞれ景気の波を和らげる力があるが、
それぞれスパンが違う。
公共投資は1~2年、金融政策は3~5年、
税制改革はそれ以上である。
日本は90年代に税制改革で大失敗しており、
そのツケをずっと払い続けているのだ。

この本は根本的に間違った議論を展開しているけれども、
将来の対策として見ればそれなりの本かもしれない。

・今日の一言(本文より)
日本では専業主婦の家庭の方が子どもの数が少ない。
일본에서는 전업주부의 가정 쪽이 아이 수가 적다.
在日本女方是家庭主妇的家庭孩子更少。
Japanese housewives have lesser number of children.

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