SSブログ

貧乏人は医者にかかるな!-医師不足が招く医療崩壊(集英社新書) [本(医療問題]

『貧乏人は医者にかかるな!』
永田宏(医療情報学)
集英社新書(2007)


日本は医師が足りません!
医師不足に至る過程を知る良書

産婦人科の不足はついにここまで来た。
大阪のある病院の産婦人科は、
毎月先着20名までしか分娩を受け付けないのだ。

なぜ医師が不足するのか?
そもそも医師を増やせば
厚生労働省は勢力拡大できるはず。
それは霞が関で厚生労働省が最弱だから。
他の省庁の圧力に潰されているのだ。

病気の診断は難しく確率的なもの。
急性虫垂炎の手術の15%は、実際には虫垂炎ではないのである。
そしてこれは医療の世界の常識であり、仕方のないことなのだ。

医師不足を否定する官僚の情報操作。
厚生労働省の検討会報告書の将来の医師数予測は、
年齢による引退が無視されており、
70歳以上の医師がすべて現役として計算されているのだ。

医師が少なければ、それをどう分配するという問題が起こる。
お金がある人が診察を受けられるのがアメリカ。
公平にして順番に待たせるのがイギリス。

イギリスでは患者負担は0。
しかし自分が指定したかかりつけ医師からしか、
診察を受けることができない。
一人の患者の診療は20-30分と長いこともあり、
かかりつけ医師の診察ですら2日から1週間待ちである。
さらに入院ではもっと待たされる。
2004年では、入院待機半年以上の人が8万人もいたという。

医師不足対策には3つの方法がある。
医学部定員増、医師輸入、患者輸出である。

イギリスは医師を積極的に輸入し、
今や医師の31%は外国生まれである。
これは英語圏ならではの方策で、
日本ではできそうもないところだ。

アメリカはお金優先だが、
公平に国民皆保険を導入する動きもある。
もしそうなると、日本の医療も影響を受けるという。
アメリカで国民皆保険を導入したら医師不足が顕在化し、
世界中から医師を輸入するからだ。
日本からも相当数の医師がアメリカに奪われてしまうという。
まさに日本の医療は危機にあるのだ。

私が思うに、これは日本の官庁の力学が最大の問題だろう。
厚生労働省が弱すぎて、予算がないのだ。
経済産業省と国土交通省を削って、
厚生労働省を拡大するべきなのだが、
不祥事続きなので、
それができないのが何とも悲劇的なところである。

・今日の一言(日本政府)
貧乏人は医者にかかるな!
가난한 사람은 의사에게 진찰을 받지 마라!
贫穷人别找医生看病!
The poor man, don't see a doctor!

タグ:永田宏
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。