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幸福論-〈共生〉の不可能と不可避について [本(哲学思想]

『幸福論/宮台真司・鈴木弘輝・堀内進之介/NHKブックス/2007』
著者:理論社会学者、教育社会学者、歴史社会学者
評価:幸福のための教育の在り方を探る

幸福はいかにして可能か?
何をどこまで知るべきか?
私たちは生涯をどのように過ごすべきか?

70年代半ば以降、SFが社会批評から自慰的妄想になった。
マイケル・ムアコックや松本零士などである。
近年のセカイ系のラノベとは、
自分の謎の解決を世界の謎の解決と短絡的に同一視する。
今の鋭い高校生には深みの感覚がないという。
深み=潜在性、見えないものが見えるものを規定しているということ。
これは大人になれば見えてくる
隠れた本質の世界があるという感覚がないということ。
表層的なのだ。

パットナム
イタリアの南北は同じ政策でも結果に差異がある。
信頼や規範やネットワークなど社会的関係性の違い、
社会関係資本の蓄積の違いである。
民主制を補完するには良きものへのヘリテージが必要。
アメリカの宗教的良心はNPO活動しており、
ヨーロッパには地域共同体と階級文化がある。
激動する東アジアでも、
韓国の儒教主義と中国の血縁主義がそれを支えている。
問題は、日本にはそれに対応するものがないのだという。
確かに思いつかないな。
だからこそ、日本的なものを求める人が後を絶たないんだろうけど。

脱共同体的存在の被差別部落化の問題。
部落は、江戸時代までは脱共同体的存在。
差別されていたというより、別世界の存在と扱われていたのだ。

宮台真司の方針。
人を見て法を説く。
素朴な者には素朴に接し
不可能性を知る者には不可能性を知る者として接する。
確かに、わからない人にわからせるのは無理だと思う。
人生は有限だからだ。
人生が無限ならば、徹底してわからせようとすべきと思うが、
有限である以上、どこかで打ち切らねばならない。

教育バウチャー制度は私学潰し。
子どもの数に応じて資金援助するから、
生徒数が少ない私学は苦しいらしい。

酒酔い運転の罰則強化の問題点。
轢き逃げの罰則より酒酔いの罪が重いため
轢き逃げ事件による死者が続出した。
逃げるために救出が遅れて死人が増えるのだ。
バランスの悪い法律は人を殺す。

フィールグッド・プロジェクト
幸福の代償として知る権利と情報選別の主体性の放棄を要求する。
これはある意味、
宮台真司の人を見て法を説くという言葉と合致するように思う。

・今日の一言
人を見て法を説く。
Suit your style to your audience.
사람을 보아서 설법하다.
要看人说法。

タグ:宮台真司
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