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日本的思考の原型-民俗学の視角(平凡社ライブラリー) [本(歴史]

『日本的思考の原型』
高取正男(民俗学)
平凡社ライブラリー(1995)


日本と西洋の比較など。

西欧には個人の食器を用意する習慣なし。
日本の主婦権の象徴はしゃもじ。
西欧の主婦権の象徴は腰につけた鍵束。
所有意識の違いが面白い。

牛は馬より急坂の上り降りが上手。
牛はどこでも横になって寝る。
牛方は牛に寄りかかって寝るし野宿も簡単。
牛は便利だ。

日本の伝統的な履き物にはカカトがない。
歩き方の問題かな?

死生観。
生まれて三日目の湯をすますまで、
赤ん坊の魂はあの世とこの世の中間にある不安定な存在。
子どもが二人の家庭がほとんどだった常陸の村。
間引きである。

・今日の一言(本文より)
Because is woman's reason.
だってというのが女の理由よ。
"왜냐하면"이 여자의 이유예요.
"因为"是女人的理由。

タグ:高取正男
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ヒトラーの経済政策-世界恐慌からの奇跡的な復興(祥伝社新書) [本(歴史]

『ヒトラーの経済政策』
武田知弘(ライター、ナチス)
祥伝社新書(2009)


シャハトとシュペーアが凄い。

ヒトラーの最優先は失業対策。
アウトバーン建設費の46%は労働者の賃金になった。
アウトバーン建設費は20億マルクだが、
それで5億マルクの失業手当を減らすこともできた。
またベルリンオリンピックで5億マルクの外貨を稼ぐ。

減税で増収する。
33年に税収の1割を減税したら、税収は増加したという。

先進的な政策。
・源泉徴収制度の創設
・アスベスト対策の完全施行

生活保障としての方法。
低所得者救済は現物で支給。
食料、毛布、燃料など。条件は広く多くの人が支給を受けた。
日本も米が余っているなら、生活保護世帯に配るといいかも。

こうした施策の中心がシャハトである。
シャハトの後に登場するのが、シュペーア。

軍需相アルバート・シュペーアの手腕は、
重戦車製造量を41-44年で6倍、航空機を3.5倍にした。
当時の日本とは偉い違いだ。

・今日の一言(本文より)
輸入を増やさず輸出ばかりすれば流通するお金が増えて物価が高騰する。
수입을 늘리지 않고 수출만 하면 유통하는 돈이 늘어나서 물가가 치솟는다.
不增加进口只增加出口的话,流通钱币会增加,导致物价上涨。
When not to increase import but export much more, prices soar because the circulating money increases.

タグ:武田知弘
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文明崩壊(上・下) [本(歴史]


『文明崩壊(上)/ジャレド・ダイアモンド/草思社/2005』
『文明崩壊(下)/ジャレド・ダイアモンド/草思社/2005』
著者:生理学、鳥類生態学、自然人類学の研究者。
評価:環境問題を解決できた文明とできなかった文明の違いを知る

最新の氷河期でも現在より5度低いだけ。
温暖化の意味を甘く見てはいけない。
環境ストレスと人口過密の国は政治的ストレスにもさらされる
世界の内戦国家は破綻した環境に過剰な人が住んでいるのだ。
無人の大陸や島に人間が入植するとその他の大型動物の絶滅する。
過去の先住民は聖なる人ではない。
ネイティブ・アメリカンが環境と調和していたというのは
うそっぱちである。
鉱業会社の悪慣行に効果が高いのは消費者よりそれを買う大企業
狂牛病関連の規制に食肉業界は抵抗したが、
マクドナルドが要求すると一発で抵抗を止めた。
供給チェーンの環の中で大衆の圧力に弱い部分を探し当てて、
そこに市民運動の矛先を向けるべきなのだ。
ダム決壊の恐怖の世論調査、数キロの地点で最も強く恐怖を訴えるのに、
ダム直下では恐怖はゼロになるという。心理的な拒絶が働くのだ。
これは日本と韓国と北朝鮮の関係が相当しそうだ。
なぜ北朝鮮を危険視するのが離れた日本で、
危険の直下にいる韓国は恐怖を抱かないのか?
精神医学でいう、逃避のメカニズムが働いているのだ。

『人間-過去・現在・未来〈上〉/ルイス・マンフォード/岩波新書/1978』
『人間-過去・現在・未来〈下〉/ルイス・マンフォード/岩波新書/1984』
著者:文明批評家
評価:文明史


人類の諸転換を追跡し、
人間全体の過去全体の収支決算書を描く。
世界政府と世界人のあるべき姿なども考察している。

義務教育はプロイセンの絶対主義軍国主義のもとに発展した。
軍事と教育は関係が深いのだ。

『妖術/ジャン・パルー/文庫クセジュ/1971』
著者:
評価:フランスを中心とする妖術の歴史


『文明の誕生/伊東俊太郎/講談社学術文庫/1988』
著者:科学史、科学哲学、比較文明学
評価:人類史の5つの革命を知る・良書

人類革命:アフリカ
農業革命:東南アジア・西アフリカ・メソポタミア・新大陸
都市革命:メソポタミア・エジプト・インダス・殷・
     メソアメリカ・インダス
精神革命:ギリシア・インド・中国・イスラエル
科学革命:西欧のみ

定住民による蓄積と遊牧民の伝達が文明発展を促した。

ギリシア思想:ロゴス的理論的・イデアの観照
インド思想:彼岸的形而上的・涅槃への解脱
中国思想:此岸的実践的・道の実践
イスラエル思想:超越的宗教的・律法による救済

注意・p71の原人と現代人類の関係は明らかに間違い。古い。

・今日の一言(人間-過去・現在・未来の文中より)
征服の英雄、苦難の聖者、熱烈な恋人、勇敢な冒険者、忍耐強い科学者...
정복을 하는 영웅, 고난을 받는 성자, 열렬한 연인, 용감한 모험자, 인내심이 강한 과학자...
征服的英雄、苦难的圣人、热情的恋人、勇敢的冒险着、忍耐心强的科学家
A conquering hero, a suffering saint, a passionate lover, a daring adventure and a patient scientist...

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アメリカ黒人の歴史 新版(岩波新書) [本(歴史]

『アメリカ黒人の歴史 新版』
本田創造(アメリカ社会・経済史)
岩波新書(1991)


差別との戦いを知る。良書。

人種差別は遠い昔の話ではない。
1987年5月20日、
無実の黒人死刑囚の死刑執行が行われた。
看守も服役者も誰も犯人と思う者はいなかったが、
それを止めることはできなかった。

黒人の定義の不思議。
金髪、白い肌、眼の青い黒人、
ウォルター・ホワイト。
彼が黒人なのはその血筋の1/64だけが黒人だからである。

黒人奴隷の歴史の始まり。
1619年8月20日、初の黒人奴隷20人が輸入された。

当初のアメリカにはそれほど黒人奴隷は多くなかった。
タバコから綿花へと産業が移り、
白人年期奉公人制度から黒人奴隷制度へと変化したのだ。

女性の活躍もある。
南北戦争時の黒人の女モーゼ、
ハリエット・タブマン(Harriet Tubman)などの話は興味深い。

奴隷解放運動のウィリアム・ロイド・ガリソンの宣言。
私は真剣だ。私は曖昧な態度はとらない。私は容赦しない。
私は1インチたりともあとへ退かない。
そして私の言うことを聞き入れてもらうのだ。
正義への道には確固たる意志が必要である。

非暴力運動の活動家の意志の強さには驚かされるものがある。
たくさんの死傷者が出てもなお非暴力に徹するのである。
また対する白人側の異常な暴力行動には、
人間の差別意識の変革の困難さを感じさせる。

・今日の一言(ウィリアム・ロイド・ガリソン)
I am in earnest - I will not equivocate - I will not excuse - I will not retreat a single inch - AND I WILL BE HEARD.
私は真剣だ。私は容赦しない。私は1インチたりともあとへ退かない。そして私の言うことを聞き入れてもらうのだ。
我是诚肯认真的──我不会闪烁其辞──我不会客套──我将寸土不让──我将使人们听到我的呼声。
나는 진심으로 말한다. 나는 애매하게 말하진 않는다. 나는 용서하지 않을 것이다. 그리고 한치도 물러나지 않고 단호히 맞설 것이다.

タグ:本田創造
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好戦の共和国アメリカ-戦争の記憶をたどる(岩波新書) [本(歴史]

『好戦の共和国アメリカ/油井大三郎/岩波新書/2008』
著者:アメリカ現代史、世界現代史
評価:戦争を中心に知るアメリカ史。良書。


著者は言う。アメリカはなぜ好戦的なのか?
アメリカはデモクラシーの先駆者を自負するがゆえに好戦的なのだと。

デモクラティックピース論。
民主国家同士は戦争しない。
まあ、だいたいあっているような気はする。

アメリカの文民統制。
アメリカには一度も軍部クーデターがなかった。

アメリカの独立戦争の苦しさ。
当時の人口はイギリスは800万人に対してアメリカは250万人。
7年の独立戦争の末の勝利。
ほとんどの戦闘で負けながら戦争に勝ったという。

リンカーンはなぜ奴隷解放したか?
イギリスの介入を防ぐため。
イギリスは植民地での奴隷制度の廃止を宣言していたので、
奴隷解放することでイギリスを味方にしたのだ。

南北戦争はアメリカを変えた。
USAは、南北戦争前は複数形の動詞で受けたが、
以後は単数形に変化したのだ。

アメリカは第二次大戦で発展した。
1940年の国民総生産は997億ドルだったのが、
終戦の1945年には2119億ドルと2倍以上になったのだ。

朝鮮戦争の危機。
世論調査でアメリカは第三次大戦に突入かに、
57%が同意したという。

思うに、
アメリカには南北戦争という正義の戦争への記憶があり、
第二次大戦という儲かる戦争の記憶がある。
これがアメリカを好戦的にしているのかもしれない。

・今日の一言
アメリカはデモクラシーの先駆者を自負するがゆえに好戦的なのである。
The United States is a bellicose nation because it has the pride of a Democracy's pioneer.
미국은 민주주의의 선구자를 자부하므로 전쟁을 좋아하는 것이다.
美国因为是自负民主主义的先驱者,所以好战。

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ポピーと桜-日英和解を紡ぎなおす [本(歴史]

『ポピーと桜/小管信子/岩波書店/2008』
著者:近現代史、国際関係論
評価:ポピーと桜クラブによる和解活動のノンフィクション


英国の日本軍捕虜経験者の怒りが今も続いている。
英国人にとっての泰緬鉄道と、
アメリカ人にとってのバターン死の行進は、
日本軍の残虐さの象徴となっている。

宮本久雄の"多様で小さくハヤトロギアな物語の群れ"
diverse small hayatological stories

英国人の言葉で、
大事なことは和解よりも理解、という発言があった。
まず理解から始まるのだ。

残酷だったのは日本軍だけではない。
英軍の残酷さの例として、
アーロン収容所の毛ガニ事件が挙げられている。
日本兵捕虜を食料のない地域に隔離して、
その地の赤痢を持つ毛ガニを生で食べさせるように追いやり、
全滅させた事件。
そして"日本人は衛生観念がないので我々が止めても食べてしまい、
全滅した"と報告したという。
人間の残虐性には国境はないね。

・今日の一言
大事なことは和解よりも理解だ。
Understanding is more important than reconciliation.
중요한 것은 화해보다도 이해다.
理解比和解更要紧。

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中世ヨーロッパの農村の生活(講談社学術文庫) [本(歴史]

『中世ヨーロッパの農村の生活』
J・ギース、F・ギース(中世の歴史)
講談社学術文庫(2008)


13世紀後半のイングランドの村エルトンを例に。

重量有輪犂は、産業革命以前の最も重要な農業革命の一つ。
複数の家畜にひかせることができた。

クラック工法とは、
湾曲した木材で内側から屋根を支える方法。

英国の聖職者も禁欲していたわけではない。
イングランドの司祭はほぼ全員が結婚していた。

陽気な中世の説教師たちの会話。
説教師"そこ、おしゃべりをやめなさい"
女性"じゃ、あんたはどうなの?
もう30分も無駄なおしゃべりを続けているじゃないか"
威厳ないね。

人口の変化。
ドゥームズデイ調査でイングランド人口は150-200万だったのが、
14世紀前半は400万以上になった。
中世のヨーロッパは世界の中心じゃないよね。

『古代ローマの日常生活』
ピエール・グリマル(古典学、ラテン文学、歴史学、考古学)
文庫クセジュ(2004)


コンパクトにローマの生活がわかる。
建物と衣類に詳しい。

日常の食べ物は野菜の煮物、キャベツが多いらしい。

ローマでは、最貧の奴隷にも基礎教育があったという。
東西の識字率の高さが興味深い。
この時代、ローマだけでなく後漢も識字率が高かった。

後漢は開祖の光武帝が一級の学識者であり、
学問を重視した。蔡倫の紙の発明などもあり、
後漢では大学生が3万にも及び、地方にもたくさんの学校があった。
あの筵織りの劉備ですら大学者廬植に学んだことがあるのだ。
三国志が面白いのも光武帝のおかげである。

後漢時代が、その後1000年間よりも
識字率が高かったのは間違いないと思う。

『売春の社会史(上)』
バーン&ボニー・ブーロー(歴史学)
ちくま学芸文庫(1996)


人類最古の職業の歴史の前編。

クフ王の娘やラムセス王の娘を、
ピラミッド建設資金のため父が売春宿に売ったという話があるらしい。
売春というものの社会的評価が違うのだろうか。


・今日の一言
説教師、"そこ、おしゃべりをやめなさい"。女性、"じゃ、あんたはどうなの?もう30分も無駄なおしゃべりを続けているじゃないか"
선교사. "거기, 수다를 떨지 마라." 여자. "그럼, 너는 어떻니? 이미 30분이나 쓸데 없는 수다를 계속 떨고 있지 않은가?"
传道士,"你,不要闲聊了。" 女人,"那么,你呢?你已经漫无边际地闲聊了30分钟呢!"
Preacher, "Hey, you! Stop talking!" Lady."Then, how about you? You've already told 30 minutes wastefully."

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ポンペイ・グラフィティ(中公新書) [本(歴史]

『ポンペイ・グラフィティ/本村凌二/中公新書/1996』
著者:西洋古代史
評価:ポンペイの落書き集。

剣闘士についての落書き。
娘たちのため息であるトラキア闘士ケラドゥス!
何かグインサーガを思い出した。
このあたりがネタ元なのかも。


・今日のポンペイの壁の一言
ADM1ROR, O PARIES, TE NON CECID1SSE /RV/N/S/, QV/ TOTSCR/PTORVM TAED1A SVSTINEAS.
I wonder, O wall, that you have not yet collapsed [in a heap], so many writers' cliches do you bear. (Pompeian graffito)
おお壁よ!こんなにも多くの落書き人の愚行に力をかしたことによってお前はくずれ去ってしまわないのだろうか。
아, 벽이여! 이렇게도 많이 낙서한 사람의 어리석은 행위를 도와준 것에 의해 너는 무너져 버리지 않는 것일까?
哦!墙啊!你帮助这么多胡写乱画的人,由这种坏事你不会崩塌吗?

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検証アメリカ500年の物語(平凡社ライブラリー) [本(歴史]

『検証アメリカ500年の物語』
猿谷要(アメリカ史)
平凡社ライブラリー(2004)


アメリカ史を知る良書。
日本史との対比がわかりやすい。

江戸幕府の創設が1603年。
イギリス人のアメリカ植民開始は1607年。
アメリカ史は江戸時代から始まると言える。

大政奉還は1867年。
ロシアの農奴解放令とイタリアの統一は1861年。
カナダが自治領になったのが1867年。
ドイツ帝国樹立は1871年。
近代国家が出揃う時代である。

The First American ネイティヴアメリカンはもともと人数が少ない。
中南米のインディオは千数百万したが、
北アメリカの人口は約300万人だった。

アメリカとヨーロッパの不幸な出会い。
最初の植民者144人、到着時104人は、翌年38人に減った。
アメリカの新しい疫病のためである。
逆に中南米の先住民は、
ヨーロッパ人の伝染病で死亡率が50-90%にも及んだ。

梅毒の驚異の伝達速度。
コロンブスが1493年にヨーロッパに持ち帰る。
そして1505年には中国に到達したという。

アメリカの独立宣言書
"すべての人間は生まれながらにして平等"
しかし黒人奴隷がいるという矛盾。
アメリカは矛盾を抱えたまま誕生したのである。
アメリカは矛盾をエネルギーに変えて発達してきた国と言えるかもしれない。

テキサス、ハワイ、カリフォルニアを併合したアメリカ方式。
1.自国の国民が隣国に入って反乱
2.政府も密かに応援
3.数年後に併合
……なんかあくどいな。

地下組織に助けられ北部へ逃げた黒人女性ハリエット・タブマン。
南部へ19回潜入し300人の奴隷を解放した。
これは面白い話。いろいろなエピソードがありそうだ。

有能な将軍グラント、後に無能な大統領になった。
軍人に政治は難しいのだ。

アメリカのフィリピン領有は1898年。
これが日本の台湾併合と時期が近い。

大統領の外交方針を示す言葉。
シオドラ・ローズヴェルトの棍棒外交。
ウィリアム・タフトのドル外交。
ウッドロー・ウィルソンの宣教師外交。

理想主義者ウィルソンは国際連盟で挫折。
また第二次大戦を予言した。
あまりに頭の良すぎた大統領であったと思う。
時代の一歩先を行く者は成功するが、
時代の二歩先に行く者は相手にされないのだ。

大恐慌下のアメリカ。
ソ連の6000人熟練労働者募集に、
アメリカ人10万人が応募したという。
今からは想像できない事態である。

現代アメリカ人の10人に1人は海外生まれ。
今も移民を吸収して成長し続けるのがアメリカである。

・今日の一言(アメリカ独立宣言書)
すべての人間は生まれながらにして平等である。
All men are created equal.
만인은 평등하게 만들어졌다.
人人生而平等。

タグ:猿谷要
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戦争の日本近現代史-東大式レッスン!征韓論から太平洋戦争まで(講談社現代新書) [本(歴史]

『戦争の日本近現代史/加藤陽子/講談社現代新書/2002』
著者:日本近代史
評価:戦争を選択する国民と為政者の論理を知る・良書

なぜ戦争しなければならないと為政者や国民が考えるようになったのか。
戦争の論理を解き明かす良書である。

このサブタイトルは紛らわしい。
てっきり受験勉強用の高校生向けの本と思って、スルーしていた。
"戦争の論理を解く歴史学"ぐらいが正しいと思う。

歴史学とは人々の認識の変化を捉える学問という。
歴史の中で人々の心の変化を知るのが歴史学である。

戦前まで戦争で戦争を語るのが日常的だったという。
日露戦争を日清戦争で語るなど、戦争が連鎖しているのだ。
このあたり、戦争の連鎖が途切れた日本人には理解しにくいが、
アメリカ人なら、イラク戦争を湾岸戦争で語り、
湾岸戦争をベトナム戦争で語り、
ベトナム戦争を朝鮮戦争で語り、
朝鮮戦争を第二次大戦で語るのは当然のことと理解するだろう。

明治憲法の生みの親シュタインは、朝鮮が日本の利益線と明言した。
ロシアと日本の対決という構造の中で、
中国と朝鮮は舞台扱いされたわけ。

日清戦争時の人口は3938万人。
意外と少ない。

日露戦争を
"進んだ国日本と遅れた国ロシアとの戦争"と認識したレーニン。
ロシアは帝政で、日本より政治体制が遅れていたから。

マーク・ピーティー
日露戦争の頃の日本ほど戦略的思考に導かれ、
慎重な考察と広範な見解の一致した国はなかった。
司馬史観みたいだ。

日本の短期決戦論は非常識ではなかった。
短期決戦論はアメリカ海軍でも唱えられていたという。
軍艦を造るのに2年以上かかるかららしい。
新しい軍艦ができて、
訓練して使える頃には普通は戦争は終わっているものだから。
戦争は在庫一掃セールのように戦うのが常識なわけ。
湾岸戦争もイラク戦争もそうだ。

石原莞爾の考え。
日本から一厘も金を出させず、占領地の徴税物資で自活する。
戦争を以て戦争を養うという。
この方針では中国がどんな悲惨な状況になるか、
目に見えるというものだ。

不戦条約と中立法のため、
日中米ともに日中戦争を戦争と呼ばないことに利益を見出したという。
戦争を戦争と呼ばない謎は、こんなところにあったのである。

アメリカの在米日本資産凍結と対日石油禁輸はソ連に対する援護。
ドイツ側にソ連をつかせないため日本を敵に回したわけ。

・今日の一言
なぜ国民は戦争しなければならないと考えたのか?
Why did the people want to go to war?
왜 국민은 전쟁 해야 하다고 생각한 것인가?
为什么国民认为需要战争?

※091230追記:トライラインさま
コメントの意図が全く理解できません。写真など個人データが含まれるようなので公開を保留しています。前回も告知しましたが返事がありませんのでしたので前回分のコメントは消去しました。台湾の方で、日本語が苦手でしたら、中国語でコメントしていただいて構いません。

タグ:加藤陽子
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フランス革命-歴史における劇薬(岩波ジュニア新書) [本(歴史]

『フランス革命』
遅塚忠躬(西洋近代史、フランス近代史)
岩波ジュニア新書(1997)


フランス革命の構造、その意義、その展開を知る良書。

日本国憲法にある、国民の生存権の保障は
フランス革命の理想を受け継いだものらしい。
その生存権を主張したのがドリヴィエである。

マルセイユから来た義勇兵が歌ったラ・マルセイエーズ。
これがフランスの国歌になった。

当時のフランスの総人口は2700万。その7割は貧しい民衆と農民。
フランス革命とは、
貴族、ブルジョワ、民衆、農民の4つの革命の複合体とされる。

左翼急進派の山岳派、あるいはジャコバン派とも。
大衆と同盟して革命を徹底しようとした。
ロベスピエール、ダントン、マラーらがいる。

右翼穏健派がジロンド派
ブリッツ、ヴェルニオ、コンドルセ、ロラン夫人など。
背景に、貿易港大商人がいて、ブルジョワの利害を優先する。
さらに中間で浮動的な平原派がいた。
こうした勢力の綱引きの中で、革命は暴走していくらしい。

フランス革命の負の側面。
科学者ラヴォワジエが、徴税請負人であったため処刑されたこと。
歴史的な科学者の命が巻き添えになってしまった。
犠牲者は西部地方だけで20-30万人にのぼるという。

英仏日の比較
フランス革命は大衆が主役だがイギリス革命では脇役だった。
そのためイギリス革命は自由を、フランス革命は平等を求めた。
日本の明治維新はブルジョワが変革の担い手になれなかった。
ブルジョワが十分に成長していなかったのだ。

『アメリカ独立の光と翳』
今津晃(アメリカ史)
清水書院(1976)


伝記集。

ジョージ・ワシントン、サミュエル・アダムズ、
ジョン・ディキンソン、トマス・ハッチンソン、
ジョーセフ・ギャロウェイ
など。

当時、1775年のアメリカの人口は、白人200万黒人50万。
その内、愛国派は100万人、王党派は50万。
国外亡命した王党派は8万らしい。
そして攻めてくるイギリス軍5.5万。
当時はまだアメリカは小さな国だ。

・今日の一言
国民の生存権の保障はフランス革命の理想だ。
National right to live is an ideal of the French Revolution.
국민의 생존권 보장은 프랑스혁명의 이상이다.
保障国民生存权是法国革命的理想。

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日本はナチスと同罪か [本(歴史]

『日本はナチスと同罪か/西尾幹二/WAC BUNKO/2005』
著者:ドイツ文学者
評価:ドイツの戦後賠償の意味を知る・ただ根本に勘違いが……

ドイツは日本のような講和条約を結んでおらず、
近隣諸国と法的には交戦状態。
戦勝国に賠償も謝罪もしていないのだが、それはドイツ人も知らない。
ただし、これはドイツが手抜きしたということではなく、
東西に分裂していたためである。
旧アメリカ兵の日本企業への訴訟は、
サンフランシスコ講和条約で解決済みなので無効となった。
法律というものはこういうものなのだ。倫理とは異なる。
暴支膺懲・不拡大方針・八紘一宇・東亜新秩序の建設など、
戦局に応じてスローガンが後付けされた。
その場の流れで動いた日本政府。
戦前の日本政府は、大局的戦略があったわけではなく、
その場しのぎで動いていたのである。
朝鮮半島との問題は、イギリスとインド、フランスとインドシナ、
オランダとインドネシアと比較すべきという。
植民地問題であるから当然である。
日韓は戦争した事実はなく、
ドイツと比較するのは勘違いも甚だしいわけだ。
戦後の裁判では3つの罪が問われた。
平和に対する罪、人道に対する罪、通常の戦争犯罪である。
日本は人道に対する罪は問われていない。
人道に対する罪とは、ナチスのユダヤ人虐殺のようなものをいう。

ドイツのヴァイツゼッカー大統領はいう。
一民族全体に罪があるもしくは無実であるということはない、
罪も無実も集団的ではなく個人的なものだと。
人間は自分がしていないことに道徳的な責任はとれない
政治的な責任を負うのみだ。
西尾幹二はこれとらえ、ドイツ人は卑怯だという。
ドイツ人は、自分の罪を言葉巧みに回避していると。

勘違いも甚だしい。このドイツ人の感覚こそ正しいのだ。
西尾幹二は、罪と責任の意味がまるでわかってない。
ヴァイツゼッカーの言葉のほうが、
人間の感覚を正しくとらえているのだ。

人は、自分の選択肢で回避できないことに罪を感じることはできないし、
責任も負うことはできない。
戦後に生まれた日本人やドイツ人は、
戦争や植民地について罪を感じないし、
責任を持たないのも当然である。
もちろん、現在の知識が正しくないことで相手を傷つけ、
罪を感じ、責任をとることはできる。
ただしそれは、日本人が韓国人・中国人に対して持つだけでなく、
韓国人・中国人が日本人に持つこともあり得ることだ。

民族や国民の罪などという空虚な美しい言葉で、
責任者の罪を軽くすることは許されない。
一国の指導者と一般民衆の責任は、比較できないほどに違う。
政治指導者、企業家、マスコミなどの権力者の責任が重く、
一般人の罪はほとんどないに等しいのは当然である。

小さな力の者は小さな責任を負い、
大きな力の者は大きな責任を負う。
この当たり前のことを認識していない人がいる。
人は責任を平等に背負うものではないのだ。
大きな力の者は小さな力の者と同じことをしても、
与える影響が全く違うのだから。

『近代中国は日本がつくった/黄文雄/WAC BUNKO/2005』
著者:評論家
評価:反共台湾人の反共工作書・根拠と結論に関連なし

中華民国は日本への留学生が建設した。
漢字使ってて勉強しやすいからね。
すると、今の日本留学組に大物がいないことの方が問題だ。
関于、由于、認為、視為は日本語を翻訳して生まれたという。
明治初期に英語翻訳調の日本語ができたようなものか。
中国外来語1270の459が日本語由来。
中国語の建設に日本人も加わったわけだ。

これだけ中国で活躍した日本人を挙げて、
共産党の八路軍で活躍した日本人を挙げないのはなぜか。
本質的に反共台湾人の反共工作の一環ということ。
個々のデータは面白い。が、
本タイトル、章タイトル、文末の結論に論理的に結びついていない。

『日韓歴史論争/桜井よしこ・金両基/中央公論社/1997』
著者:ジャーナリストと比較民俗学者
評価:基本的に「と」本・論理的で無知vs.博識で非論理

論理的で無知な女史と、博識で結論が先にある老人の対話。
金氏の結論を決めつけて次の話題に変えてしまう話法がはなはだ不快。
その上、想像で論じるなといいながら自分は想像で決めつける。
結局、二人はジャーナリストと比較民俗学者。
二人とも歴史論争するだけの力がないことは明白。

95年ドイツ世論調査によると、
終戦の日は80%がナチスから解放された日だという。
敗戦でなく解放なのである。
朝鮮半島に赤線や遊廓がなく、身売りという感覚はなかったという。
売春婦はどうしてたのか?
19世紀の半ばの朝鮮国民、
その30%が奴婢≒奴隷だったという事実はどう考えるのか?
キリスト教は征服を反省しているのに日本は反省しないという。
国家と宗教団体を比較するのは変だろう。
日本の仏教団体は戦争を反省していると思うが?
日本は朝鮮へ資金を大量に投資し、
植民地支配で損をしたという考えがある。
ここで注意が必要なのは、日本からの朝鮮への40万の移民だ。
この移民にともなう動きと見れば何の不思議もない。
アメリカの貿易赤字がアメリカへの移民と連動しているのと同じだ。
戦前の朝鮮人台湾人は選挙権も被選挙権もあった、
戦後に廃止されたので在日にそれを復活させる根拠があるという。
バカをいうな。
韓国や北朝鮮に選挙権や被選挙権があるのにおかしいだろう。

根本的な間違い。
そもそも日本とか韓国に意志や意図はない。
日本とか韓国などという"もの"は存在しない。
あるのは日本政府や韓国政府だが、それとて複数の人間の集団である。
構成する人間が意志を持つのであって、
集団が意志や意図を持つように考えるのは妄想以外の何物でもない。
歴史を考えるときは、日本は、韓国は、などと考えてはならない。
伊藤博文はこういう意図があった、
福沢諭吉の意志はこうだったと論じることができるのみである。
個々の人間を見ない妄想的歴史論は、何の真実を取り出せないだろう。

意図、意志、罪、責任 ― これらはすべて個人が持つものである。
歴史論争は、根本が間違っているものが多い。

『日本の植民地支配/水野直樹・藤永壮・駒込武,編/岩波ブックレット/2001』
著者:
評価:データを検証しているが結論へ飛躍

結論が先にあり、関連するデータを並べたもの。
自慰史観の書籍のデータのおかしさを確認できる。
虚偽はなく、資料が参考になるが非論理的。


『戦争責任・戦後責任-日本とドイツはどう違うか/望田幸男,他/朝日選書/1994』
著者:
評価:細かいデータがよくわかる

中国との戦争は事変、すなわち戦争ではないので、
中国人は捕虜として扱わないことになっていたという。
これが中国戦線の残虐さにつながったようだ。
日本アジア解放論は、ヒトラー共産主義手先論と同じレベルだという。
ヒトラーの敗戦は共産主義を西欧に呼び寄せたから。
ちょっと強引な気がするが、
確かに結果を目的にこじつけるのは不適切だ。

タグ:西尾幹二
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芸術の起源を探る(朝日選書) [本(歴史]

『芸術の起源を探る/横山祐之/朝日選書/1992』
著者:ESR年代測定法。日本初のプルトニウム製造
評価:洞窟壁画の謎を考える。

バスク語はアルタイ語の系統らしい。

柳田国男の周圏論を民族の移動にも応用できる。
古い民族が周辺へと移動して残るのだ。
東洋の場合は中国を中心として、
周囲へと拡散すると考えればよいだろう。
アルタイ語系統は一番古くて、周囲に押し出されたのだろう。

タグ:横山祐之
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文明の起源(岩波新書) [本(歴史]

『文明の起源(上)/G.チャイルド/岩波新書/1957』
『文明の起源(下)/G.チャイルド/岩波新書/1957』
著者:考古学者
評価:渋くまとまった本・古代文明を知る

エリオッツ・スミスの言葉:両眼視は距離感ができ道具作り有利。
なるほど。

アボリジニにカンガルーという単語はない。
あるのは、おすカンガルー、めすカンガルー、
子かんがるー、はねているカンガルー、などがあるらしい。
それだけ身近だと言うことだ。

農耕に子どもの労働力は役に立つが、狩人に子どもは邪魔になる。
農耕社会では子どもを増やすのが容易。
だから人口が増加したわけ。

ナイル河の洪水のとき明け方の地平線に天狼星が見える。
天狼星がナイルの洪水の原因とされ、それが占星術へと発展した。

エジプトの数学問題集なども面白い。

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知識の社会史 [本(歴史]

『知識の社会史/ピーター・バーク/新曜社/2004』

学問と知識の歴史。
知識分類の進展の最先端に、
私の時空間マトリックスが来るってことはないかな?

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