SSブログ
本(社会心理学 ブログトップ
- | 次の30件

女の子どうしって、ややこしい! [本(社会心理学]

『女の子どうしって、ややこしい!/レイチェル・シモンズ/草思社/2003』
著者:女性心理、政治学、女性学
評価:女の子のいじめの実態を知る

女の子のいじめの技法。
メモで攻撃、匿名の手紙、落書き、迷惑メール、
ボーイフレンドを奪う、噂を流す、カンニングしたと言いつけるなど。
言葉の戦いである。

女の子の男子と違う価値観。
いい子でいよう、完璧な人間関係を続けようとする感覚があるらしい。
孤独を恐れる気持ちが男子より強いのかも。

女の子は同盟を組む。
怒りを言葉で表現しない女の子の社会では、
同盟を組んで複数になったときのみ人への攻撃が正当化される。
そして女の子の地位は人間関係で示されるという。

喧嘩の男女の違い。
男の子の喧嘩は勝てば終わりだが、
女の子の喧嘩は他の子を引き込んで長く続くという。
そうかなあ。
著者は女性なので、男性を理想化し過ぎじゃないかな?

いじめに遭っている娘への母はどう助言すべきか。
決めつけは厳禁で、まずして共感し、類似経験の告白し、
さらに一緒に現状調査して、
対策を質問しながら考えるのがよいようだ。

いじめと犠牲者は友人関係でもある。
ドメスティックバイオレンスに似た状況らしい。

いじめる人の技法とは、
a.自分の存在が相手に特別と感じさせる。
b.自分の期待には決して応えられないようにする。
c.相手を周囲から切り離す。
これは精神的に弱い人間を支配する効率的な方法だ。

a.により、何か相手に一緒にいる理由を与え、
b.により、相手が自分の部下であることを思い知らせ、
c.により、力を奪って完全支配するわけ。

・今日の一言
男の子の喧嘩はいじめの終わり、女の子の喧嘩はいじめの始まり。
Boy's fight is the end of bullying, Girl's fight is the start of bullying.
사내아이의 싸움은 왕따의 끝, 여자아이의 싸움은 왕따의 시작.
男孩子吵架是欺侮的结束,女孩子吵架是欺侮的起点。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

男の価値は「色」で決まる!(ソフトバンク新書) [本(社会心理学]

『男の価値は「色」で決まる!/今井志保子/ソフトバンク新書/2008』
著者:カラープロデューサー
評価:主にスーツとネクタイの色の決め方を知る。

アピールしたい内容を連想できる色で装うことで、
相手への印象を変化させる。

色のイメージはこんな感じ。
・やる気の赤
・元気のオレンジ
・笑顔の黄
・安心感の緑
・優等生の青
・ちょい悪の紫
・愛嬌のピンク
・オレさまの黒
・品格の白
・受身のグレー
・寛容の茶
・良心のベージュ

色の重要な法則。
補色の関係にある色を使うと混ざってグレーになる。
着る物も同じで灰色に見えてアピール力が低下するらしい。
これはなるほどと思った。

気になること。
p173の楕円と長方形の錯覚。
楕円が大きく見えるというのだけど、
どう見ても長方形が大きく見えるのだが……

・今日の一言
補色による打ち消しを避けるように服装の色を組み合わせると良い。
If you don't combine the clothes of complementary color, you can make a good impression.
반대색에 의한 부정을 피하게 복장의 색을 조합시키면 좋게 보인다.
搭配服装颜色的时候,只要发生补色的否定效果,就能给别人留下好的印象。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

文化人類学キーワード[改訂版](有斐閣叢書KEYWORD SERIES) [本(社会心理学]

『文化人類学キーワード[改訂版]/山下晋司・船曳建夫,編/有斐閣/2008』
著者:文化人類学
評価:文化人類学の外観をざっと知る良書

人類学者は村を研究するのではなく村で研究する。
対象でなく方法が人類学の特徴である。

川田順造の文化の三角測量。
二つの文化を比較するのでなく、
3つを比較することで客観的に分析できるのだ。

狩猟採集民の豊かな生活。
ブッシュマンは、一日2-4時間労働で、
一人当たり2000kcalを得る。
そしてその3/4は植物由来である。

捏造される伝統。
スコットランドのタータン柄のキルトスカート。
18世紀にスコットランドに進出した
イギリス人製鉄業者が作業着として考案したもの。
それが民族衣装として伝統が捏造されたのだ。

日本文化を考えるケとハレ。
ケは日常を支える食の力であり、稲を生長させる霊力。
ケガレはそれが枯れた状態で、
ハレはそれを回復する手だて。
ケ⇒ケガレ⇒ハレ⇒ケという循環があるという。

アメリカの人種感覚。
アフリカ系アメリカ人と白人の結婚。
その大多数は白人女性とアフリカ系男性。
逆は嫌われるそうだ。

『神はなぜいるのか?/パスカル・ボイヤー/NTT出版/2008』
著者:文化人類学、認知科学
評価:悪文過ぎる

フランス人の書く本はほんとに読みにくい。
何故なんだろう。


『定訳 菊と刀-日本文化の型/ルース・ベネディクト/社会思想社/1966』
著者:人類学
評価:日本論の古典

日本人は敵の捕虜だけでなく自軍の兵士も虐待した。
日本人は捕虜になると連合軍に協力するのが理解し難いとか。
恩に該当する概念はアメリカにないそうだ。

・今日の一言
人類学者は村を研究するのではなく村で研究する。
An anthropologist doesn't study a village, and study in a village.
인류학자는 마을을 연구하는 것이 아니고 마을에서 연구한다.
人类学者不是研究乡下,是在乡下研究。

タグ:人類学
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

騙される脳-ブームはこうして発生する(扶桑社新書) [本(社会心理学]

『騙される脳/米山公啓/扶桑社新書/2007』
著者:神経内科、作家
評価:ブームの幻想をひっぺがす

著者の助教授時代の学生に西川史子がいたそうな。

選挙でときに猛威を揮う無党派層。
実はただ有名人が好きなだけ。

韓流ブームについての著者の意見
"もちろん韓国のスターたちが悪いわけでもありません"
韓流って……悪いんだ。(笑)

クリスピー・クリーム・ドーナツは、
アメリカでは普通のドーナツ屋。
これを行列を作らせてブランド化したというわけ。

誰かが"あの子可愛いよね"というと好感が広がるという。
確かに言葉で聞くと意識するというのがあるよね。

口コミは自慢で広がるもの。
最近面白い本読んだ?に答えられる本がクチコミベストセラーになる。
さおだけ屋の山田真哉は、
クチコミ発生の最低条件は本を読み切ってもらうことという。

最近面白い本読んだ?に答えられる本、
これはやっぱりタイトルの付け方だよね。
本の売れ行きの7割はタイトルというのがよくわかる。

世界のルイ・ヴィトンの6割は日本人が購入するらしい。
本当かな?
いくら何でも多すぎという気がするけど。
ブランドで身を固めるのは、相手に低く見られないため。
持ち物が階級を示すわけだ。

ニセコを歩く4人の1人はオーストラリア人。
そこには世界一のパウダースノーがあるらしい。

外国人は富士山を見ても感動しないという。
高さだけだとたいしたことがないから。
富士山の感動はむしろ遠くから見たときだと思う。
遠く離れた場所から山の隙間に見える富士山は、
遠近感が不自然でとても神秘的なのだ。
私が一度、朝の新幹線から見た富士山は、
朝霧と空がなだらかにつながり、
富士山がまるでUFOのように空中に浮かび上がって見えて、
とても神秘的だったのだ。
写真に撮らなかったのをとても後悔している。

医学の進歩。
AIDSは薬を飲み続ければ普通に生活できる。
アルツハイマー病は5年ほどで画期的な薬が出てくるという。

けれども効かないのもある。
日本呼吸器学会は、風邪薬は効かないと宣言しているという。

間違った治療法。
大量のビタミン摂取は発ガンに結びつくらしい。
怖いですね。

長生き遺伝子は既に発見された。
ただ誰でも持っているが発現するとは限らないという。
食事を6割ぐらいに減らさないと駄目だそうだ。
難しいですね。

・今日の一言
風邪薬は効かない。(日本呼吸器学会)
Cold medicine doesn't work on cold. (Japanese Respiratory Society)
감기약은 듣지 않는다.(일본 호흡기 학회)
感冒药没有效果。(日本呼吸器学会)

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

ウェブ炎上-ネット群集の暴走と可能性(ちくま新書) [本(社会心理学]

『ウェブ炎上』
荻上チキ(メディア論、テクスト論)
ちくま新書(2007)


ネットにおける流言のメカニズムを知る良書。
炎上例多数。

・確証バイアス
自分の先入観を補強する情報ばかり集めること。
・セレクティブメモリ
印象深い記憶のみ強調されること。

結果として偏った知識が生まれる。
日本の少年犯罪が増加して感じられるのは、
これらのためといってよいだろう。

ネットはアーキテクチャで理解する。
ネットの持つ構造そのものが権力として機能する。
Googel八分など。

オルポートとポストマン
流言の量は重要性と状況の曖昧さの積に比例する
Rumor=importance×ambiguity

大澤真幸のコミュニケーションの二段の流れ
マスコミの影響力は個人の意見や態度を変えるのではなく補強する
重要度が変化するのである。

ベルリンの壁の崩壊の要因になったデマ。
ニュースの誤報を聞いた民衆がブランデンブルグ門に殺到したのだ。
これも意外。
民衆の力というより偶発的なものだったわけか。

2ちゃんねるユーザーの調査
19歳以下20%
20代  15%
30代  30.7%
40代  21.9%
50代  8.6%
60歳以上3.9%

予想より年齢層が高い。
この3.9%に麻生太郎が入ってるわけね。

著者のインターネットの見方。
インターネットで起こっていることは、
これまで起こってきたことの変形である。
特別な新しいことが起こっているわけではないわけだ。

著者のホームページはこちら
■荻上チキ『ウェブ炎上』(ちくま新書)発売記念ページ(荻上式)

タグ:荻上チキ
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

交通事故はなぜなくならないか:リスク行動の心理学 [本(社会心理学]

『交通事故はなぜなくならないか』
ジェラルド・J・S・ワイルド(交通心理学)
新曜社(2007)


名著。
真に安全な社会を構築するための人間心理を知る。

リスク・ホメオスタシス理論とは、
人間心理のリスクを一定に保つ傾向のこと。
あるリスクを減らすと、
その分のリスクで利益を得て、
リスクを一定にしてしまうのだ。
たとえば道路が安全になれば、その分だけよりスピードを出したり、
たくさん車に乗るようになるのである。
結果として事故は減らないのだ。
人々は安全技術を自分の利益に変換してしまうのである。

三角州の錯覚とは?
三角州に3本の水路がある。
水路の2本をせき止めれば水量は三分の一になると思うこと。
もちろん、残りの一本にすべてが集中するだけである。

シートベルト、エアバッグ、アンチ・ロック・ブレーキ……
これらはすべて死亡率を下げることがなかったのである。
その安全分が他の死亡原因に移動するだけなのだ。

さらに運転技能の良し悪しすら安全性に関係がない。
運転のうまい人はそれだけスピードを出してしまうのである。

事故経験の少ないドライバーとは?
・攻撃的男性的権威主義的傾向が低いこと
・向社会的価値観が強いこと
・学校で道徳の成績が良いこと
・安定した職業についていること

しかし、事故を起こしたドライバーを道路から追放しても、
事故率はわずかしか減少しない。
リスク・テイキングは人格特性ではなく、状況次第のものだからだ。

運転が丁寧でも事故の多い人がいる。
70年代のオンタリオ州のミセス"慎重運転"さん。
4年間で4回交通事故を起こし運転恐怖症になった。
ところがその事故には、彼女の責任によるものは一つもない。
あまりに用心深い運転のため他のドライバーが予測できず、
事故に遭うのである。
経験の浅いドライバーに事故が多いのは、
経験不足ではなく経験者と未経験者が混在するためという。
もしも経験の浅いドライバーだけの世界があれば、
事故率は相当に低くなるらしい。

不況時には交通事故死亡者は減少するらしい。
失業率と交通事故死亡は相関がある。
これはなぜでしょうね。運転する人と量が減るのかな?

保険という危険な存在。
自動車は保険はかつて犯罪を誘発するとして禁止されていた。

たとえばドライバーの無過失保険。
責任の所在に関係なく保障する制度だが、
このために事故が増加してしまったが、保険会社の利益も増加した。
保険会社は事故が多い方が儲かるのだ。
保険がいかに自由競争に適さない業種かよくわかる。

日本のライセンス保険。反則金を保障するもの。
これまた交通違反の助長する有害な保険である。

著者は、自動車保険会社を私企業でなく
公にすることのメリットを議論すべきという。
同感である。

『クルマを捨てて歩く!』
杉田聡
講談社+α新書(2001)


の著者は、"自動車保険とは殺人保険である"と断言しているほどだ。
保険が私企業による競争下にあるべきなのか、
もし私企業を認めるにしても、
相当に細かい法的規制が必要な業種なのは間違いない。
あるいはすべてNPOにすべきではないだろうか?
保険は純粋な営利企業が為すべき仕事ではない。

事故を減らすには、法、教育、工学アプローチより、
予防の動機付けアプローチこそがよいという。

健康と安全の習慣は将来に高い価値を持つ人々で一般的であるという。
著者の安全文化のための提案とは、
・子どもの小遣いを年ごとに増やす
・大学授業料を学年ごとに減らす
・最低賃金を年齢ごとに上げる
・未来の金銭的価値を上げること
……

これは日本の年功序列制に似ていないか?
日本は現在もなお世界の中で圧倒的に安全な社会であるが、
日本の年功序列制こそが日本の安全と安心を生んでいたのである。
とすれば、今もし一つ道を間違えれば、
日本の安全は失われるかもしれない。

・今日の一言
人々は安全技術を自分の利益に変換してしまう。
People change safety technology into their profits.
The more safety futures there are the dangerously people drive.
사람들은 안전 기술을 자신의 이익으로 변환해 버린다.
人们把安全技术变成自己的利润。

nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

間の取れる人 間抜けな人(祥伝社新書) [本(社会心理学]

『間の取れる人 間抜けな人/森田雄三/祥伝社新書/2007』
著者:演出家、イッセー尾形の一人芝居の演出
評価:演出家が会話とは何かを考える

四日間の稽古で素人を舞台に立たせるという企画の話が中心。

話に困ったとき、身近な面白い人を話の接ぎ穂にするという。
何となくわかる。けど身近じゃない人の方が私は多いな。

弱みを見せたくない人は自慢話と説教が多くなるという。
自分の弱点が話せないから、必然的にそうなるわけだ。

自分の話を止めない人は自分の容姿に自信がある人という。
話の内容以外に自信があるという現れかも。

著者は、筋肉、歩き方、声で大工か鳶か左官屋かわかったという。
ある人は、郵便受けの形で何新聞かわかるという。
職業により、特殊な洞察力が生まれるようだ。

他人の悪口は聞き流す人にすること。
話の内容を真剣に聞かないことはとても大切らしい。
つまらないことをつまらなく話し、それを聞き流す気楽さ。
これがコミュニケーションに必要なのだ。

イッセー尾形とは?
一回の公演で6-8人を演じる。
2時間の舞台が標準。
台詞は自分で書く。
10冊の小説を書いており、
イラストを描き、漫画も連載した。
ギターとバイオリンとチェロを弾くことができる。
多才な人である。

ヨーロッパでは誰かに似ているは禁句という。
日本人と韓国人は喜ぶが、中国人は嫌がる。
大陸と半島/島国では感覚が違うのかも。

日本文学の話。
漱石は恋愛を一族との対立で捉えたらしい。
作品のモチーフにこの対立があるようだ。

太宰は、女中さんに性体験を強要された可能性があるという。
それで生涯童貞だったわけかな?

また他人の日記を借りてフィクションを描いたらしい。
著作権という考え方が以前は弱かったのだ。

『権威主義の正体/岡本浩一/PHP新書/2005』
著者:社会心理学、リスク心理学、将棋、茶の湯、英語通訳
評価:権威主義とは何か・どんな人が陥りやすいか

権威主義になりやすい人とは?
あいまいさへの低耐性
何でも好き嫌いで判断する人
少人数の著名人の言葉を引用する
表面的に相手に迎合する
神秘的世界観の持ち主=潜在的に不安の強い人など。

世界の混沌に耐えられない人は権威主義になりやすいようだ。

・今日の一言
つまらない話を聞き流してあげるのが大切だ。
It's important to pretend to listen to small talk.
시시한 이야기를 흘려 듣는 것이 중요하다.
无聊的话,当作耳旁风是好主意。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

ダメなものは、タメになる [本(社会心理学]

『ダメなものは、タメになる/スティーブン・ジョンソン/翔泳社/2006』
著者:コラムニスト、記号学、英語学
評価:テレビやゲームの良いところを語る

スリーパー曲線とは?
ウディ・アレン監督の映画『スリーパー』に使われていた台詞。
現代の人間がジャンクフードの効用を理解できなかったことを
未来の科学者たちが、嘆くことにちなんでいる。
時代の主流となるメディアが複雑になればなるほど
知能指数が上がることを示す。

チェスなどの古典ゲームとテレビゲームの違い。
古典ゲームはルールと目的が明示されているが、
テレビゲームは曖昧で、それを解き明かすことが核心になる。
人気ゲームの成功はそうしたルールの解読にある。

人々の知能指数が年々増加しているというフリン効果は
環境の複雑性を反映したもの。
一般メディアの発達がフリン効果を生むというわけ。

テレビの暴力の悪影響は研究されるが良い影響が検討されていないので、
それを書いたとのこと。
人生経験をバランスの取れたものにするべしという。
様々なメディアをバランス良く消化しなさいとのこと。

何となく誤解を招きやすい内容の本だと思う。
すべてのテレビやゲームがプラスの効果を持つというわけではない。
読書だろうが、テレビだろうが、ゲームだろうが、
良くないものは良くない。当たり前なので注意が必要。

テレビやゲームの暴力性の問題では、
影響のあるなしが議論になる。
はっきり言えば、暴力的映像にさらされることで、
暴力行為への耐性が下がるのが事実である。

別の原因があるからといって、ある原因がなくなるわけではない。
三脚に脚が3つある。それを、脚a、脚b、脚cとしよう。
脚aが折れて三脚が倒れたからといって、
脚bや脚cは三脚に必要がないということにはならない。
abcのどれが折れても三脚は倒れるのである。

ある暴力犯罪の犯罪者が暴力映像を好んでいた場合、
その暴力犯罪の脚の一本が、
その暴力映像であることはよくあることである。

理由や原因というものは一つで構成されることはほとんどないからだ。
因果関係の空間的並列構造と、時間的直列構造を見なければならない。
原因の原因も原因であるし、
並立する原因群がある場合もそれらはすべて原因なのだ。
複数の原因の中から、原因度というものを考えねばならない。

その原因度は、排除の可能性の高さで決められる。
イラクの戦争の原因群の中に、
1.人類が地球に誕生したこと
2.ブッシュが戦争を選択したこと
を挙げれば、原因度が高いのは2である。
1の排除可能性は2より低いからである。

この原因度の序列付けが難しいのである。

・今日の一言
排除可能性が最も高いものが強い原因である。
Something easy to take out is a strong cause.
배제 가능성이 가장 높은 것이 강한 원인이다.
排除可能性最高的是最强的原因。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

恥と意地-日本人の心理構造(講談社現代新書) [本(社会心理学]

『恥と意地:日本人の心理構造』
鑪幹八郎(教育学、精神分析)
講談社現代新書(1998)


恥に対する学説解説と意地の分析。

日本人の意地、韓国人の体面、中国人の面子は基本は同じか。

前半の恥の分析が的はずれ。
恥と罪は本質的に違う。
罪は愛であり、恥は怒りなのだ。

少し説明しよう。
恥というのは、他者の注意指摘及びそれが予想されるときに生まれる。
他者の注意指摘とは、自己の行為を制御する行為であるから、
当然、反発を覚える。これは状況的には怒りの発露場面であるが、
人生の成長発達の中で経験することで獲得していく感情である。
本来、怒りであるものの一部が
経験により恥へと変化していくのである。
怒りの一部が恥へと進化するのである。
はずかしめを受けて怒りを覚えるというのはよくあること。
恥が怒りから生まれたものだからだ。

罪、罪悪感とは愛する相手からの信頼を失う行為をしたり、
それが予想されるようなことをしたときに生まれる。

愛とは、相手に対する無償の協力行為であり、
相手のために何かをしてあげようという気持ちである。

罪悪感とは相手への愛が不可欠なので、
愛を感じない対象には何をしても罪悪感など生まれない。
戦争で敵を殺すのに罪悪感を感じないのも
相手が愛の対象ではないからだ。
愛からその広がりとして罪があるのである。

そして、その罪を事前に回避しようという気持ちが責任感である。
責任感は罪悪感が生まれる前に動く積極的なものである。
愛から罪悪感が生まれ、罪悪感から責任感が生まれるのだ。

責任感もまた愛が根にあるため、
相手への愛がなければ責任感など生まれようもない。

日本は罪の文化でなく、恥の文化と言われることがある。
これは、日本には宗教的な意味の罪がなく、
欧米より強い恥の感覚があるためである。

宗教的な罪とは、
神という愛の対象を裏切ったと感じるときに生まれる。
宗教の弱い日本では、神に対する罪は成立しない。

ただし、日本人も罪悪感はある。
日本人の自殺の多くは
自らの責任を全うできなかった罪悪感によるものだ。
家族や社会に対する罪があるのである。

『自由からの逃走』
エーリッヒ・フロム(社会学、心理学、精神分析学)
東京創元社(1941)


ファシズムはなぜ生まれるのか。

自由であることは孤独でもある。
ファシズムは人を孤独から救うのだ。


『日本人の心理』
南博(社会心理学)
岩波新書(1953)


日本人の悪い部分を知る良書。

旧日本軍で、将校は下士官を殴り、下士官は上等兵を殴り、
上等兵は兵隊を殴り、兵隊は馬を殴る。
だから、馬に傷のある中隊は制裁が盛んだとわかるという。
韓国で嫁いびりは赤ん坊の尻を見れば分かるというのと同じ。
いじめの順送り構造だ。
日本は欧米に苛められアジアを苛める。
日本はアメリカの属国と思っているから韓国を中国の属国と罵る。
韓国の小中華意識を強調するのも日米安保同盟が裏にある。

日本の非合理主義の言葉。
"世の中のことは理屈通りに行かない"とか、
"人間は理屈で割り切れるものではない"という思考停止の言葉。
聞くたびにうんざりする。

くだくだ言わずに考えろ。考えてわからなければ調べろ。
考えもせず調べもせず放言する奴は軽蔑に値する。

『面接力』
梅森浩一(人事部長、国際人事コンサルタント)
文春新書(2004)


面接に関する技法を知る。

服装関係なしの人物本位の会社とは、
人に不快感を与えずお洒落する能力があるかを見ている。

謙遜するときは、有名人の名句やことわざを引用してみる。
数字を引用するときは下一桁まで言い、数字への強さを見せる。
最後に何か質問はありませんか?に、
特にないと答えてはならない。ここでうまくアピールするのだという。

『生き方の人類学』
田辺繁治(社会人類学)
講談社現代新書(2003)


実践とは何か。記述的。

いかに実践を通して自己を統治し自分の生き方を探究するか。

ウィトゲンシュタインの言語ゲーム
実践という事実がまずある。
その結果ルールに従っているように見える。
実存主義にも関係しそうだ。
ルールが先にあるものと、ルールを見いだすものの違いが難しい。

『「甘え」と日本人』
土居健郎(精神科医)
斎藤孝(教育学者)
朝日出版社(2004)


雑談。まあ読みやすいです。

漱石は甘えたことがないく、学生の甘えを同性愛と誤解したそうだ。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

自己コントロールの檻(講談社選書メチエ) [本(社会心理学]

『自己コントロールの檻』
森真一(知識社会学、理論社会学)
講談社選書メチエ(2000)


正しい現状認識と空虚な構造分析の本

現代人は自己コントロール能力が
低下しているというのは嘘。
現代人は高度なセルフコントロール能力を
要求されているのだ。
EQに代表される「心理学的自助マニュアル」が
流行るのもそのためだ。

現代の若者を自閉的ととらえるなど、
人格崇拝が高度化した社会状況である。
こうした社会問題を個人に還元してしまう間違いを指摘する。

現代人は消費生活で道徳を忘れ欲望に振り回されているというより、
以前なら許せたことが許せなくなっているのだ

人格崇拝欲望に答えることで心理学はその状況を再生産し
心理学へのニーズを高めている。
著者は社会の心理学化を指摘するのだが、
問題は、著者自身もしっかり心理学化していること。
社会学者なら統計などの手法で、科学的に間違いを指摘できるだろうに、
なぜ著者自身が心理学化してしまうのだろうか?

著者の解答は、
聖なる自己が高度化、純化したためキレるという現象が増えたという。
こんものは原因ではなく言い換えに過ぎない。

正しい解答を提示しておこう。
産業構造が第三次産業、サービス産業へ移行することで、
高度なコミュニケーションスキルを必要とする産業の比率があがり、
そうしたスキルが不足する人が目立つようになったということである。
そして社会のサービス産業に対応するため心理学が流行るのである。

農村で田植えするのに、
コミュニケーションスキルはそれほど必要ではない。
例えば、自閉症者はいつの時代も一定人数いたのだが、
それが問題化することはなかった。
自閉症者に欠如するコミュニケーションスキルが
社会に要求されていなかったからである。

タグ:森真一
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
- | 次の30件 本(社会心理学 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。