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数学する精神:正しさの創造、美しさの発見(中公新書) [本(数学]

『数学する精神』
加藤文元(数学、数理解析)
中公新書(2007)


数学とは何か、その本質に迫る。

仏師は木の中に宿る仏様を外に出すためにノミを振るう。
仏様がもともとそこに存在するわけである。
数学者も数がもともと存在すると考え、
それを取り出すのである。

通学的概念は実在する。小平邦彦
数学において重要なのは悟性ではなく想像力である。クライン

数学者の言う美しさとは、
整合的、シンプル、普遍的、奥深さ、意外、実在感、空間的、時間的など。
これは基本的に予測可能性に関連している。
美しさを感じるとは、そこから何かを予測できるということ。

算数学の根底には時間の純粋直観がある。カント
私が思うに、時間を空間化したものが数学ではないかと思う。
時間というのは、変化であるから空間的には表現できない。
それを公式を使って表現し、
時間を空間の一つに組み込んでしまうのが数学ではないか。
極限という表現は、行為の無限反復だけど、
それが有る一つの数値に収束する。
ε-δ論法など、時間を含む変化を、
時間を含まない静的な表現にするのが数学なのだと思う。

√2とは有理数全体を「2乗が2より大きなもの全体」と「2乗が2より小さなもの全体」という二つの部分に分けること「そのもの」が√2という数である。デデキント

このデデキントの言葉が面白いのは、
数=分けることと言っていること。
数の本質は変化や行為にあり、
対象そのものとしては存在しない。

数や数学とは何かを考えるのに興味深い一冊。

☆☆☆☆☆
難易度4/5 推薦度5/5

タグ:加藤文元
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