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親鸞のこころ:人間像と思想の核心(有斐閣新書) [本(仏教]

shinran_kokoro.jpg 『親鸞のこころ:人間像と思想の核心』
寺川俊昭(真宗大谷派)
有斐閣新書(1983)


そくばくの業をもちける身
煩悩的存在のわれわれ
願的存在の菩薩
堂僧時代には常行三昧や不断念仏をしていた

教信沙弥、聖徳太子、法然
親鸞の晩年の手紙に見る法然への思慕
阿弥陀仏のはたらきの中から、
われらのためにこの世に現れてくれた人が法然である、真宗興隆の大祖

法然は親鸞に対して『選択集』の書写を許しただけでなく、
わざわざ筆をとってその内題、
冒頭の一文に加えて親鸞(綽空)の名まで書いている。
のみならずさらに法然の肖像の図画も許して、
それに銘文として念仏往生の願文とその成就の文さえ書きしるしている。

『教行信証』は『摧邪輪』に対して『選択集』の正しさを示すもの
親鸞と法然の念仏が同じであることに反発した勢観房と念仏房
勢観房=源智
如来よりたまわりたる信心
法然は比叡山の戒律、一心金剛戒を厳しく守っていた
『選択集』の著者名は天台黒谷沙門源空
聖道の教えは歴史的ないのちを失っていた
『選択集』の真精神を顕揚することが『教行信証』

法然の吉水教団の衣鉢を継ぐ親鸞の関東同朋教団、数千人
京都に帰ったのは『教行信証』の完成のため

☆☆☆☆☆
難易度2/5 推薦度4/5

人との出会い邂逅、法然にとっては書物上の善導と遊蓮房かな。

・今日の一言(本文より)
一人いて喜ばば、二人と思うべし。二人いて喜ばば、三人と思うべし。その一人は親鸞なり。
혼자 있을 때 기쁘면 두 명이라고 생각해라. 둘이 있을 때 기쁘면 세 명이라 생각해라. 그 한명은 신란이다.
一个人高兴的时候,你应该觉得两个人在高兴。两个人的高兴的时候,你们应该觉得三个人高兴。那个人就是亲鸾。
When you are happy alone, you should think that two people are present. When you are happy with one other person, you should think there are three people present. The extra person is Shinran.



『親鸞に学ぶ信心と救い』
本多弘之(浄土真宗)
法藏館(2011)


近代教学は異安心とレッテルを貼られた
真宗大谷派近代教学は清沢満之より

十劫正覚の問題。
法蔵菩薩はみなが往生するまで仏にならないと言った。
法蔵菩薩は阿弥陀仏になっているのだから、
我々はみなすでに往生しているのに、気づいていないだけ。
証空上人の西山義
蓮如上人は否定

☆☆☆☆☆
難易度2/5 推薦度2/5

証空上人の西山義は、一遍上人に近いのではないか?



tsukizuki.jpg 『月々のことば』
武内洞達(浄土真宗)
本願寺(1982)


死の五則:
非代理性、非配分性、
非体験性、不可避性、不予測性

韓国の浄土真宗僧侶尹晩栄

聞いて考え、味わい、聞いたうえにもまた聞く。
疑いがあれば更に聞く
仏心は聞くことにより心にとどけられる

12月8日はシッタルタ太子が仏陀となった日。成道会

釈尊の時代の代表的な二つの寺院
竹林寺:大無量寿経を説く
祇園寺:阿弥陀経を説く

☆☆☆☆☆
難易度2/5 推薦度2/5

1983年のカレンダー標語の法話集。



shinshu_ho_ko.jpg 『真宗法語のこころ』
中西智海(親鸞教学)
本願寺出版社(2000)


念仏は人生に意味を与えるもの
断絶という考え方は仏教にはない。縁起の世界に断絶なし

動物には苦痛はあっても苦悩はない
お金はおがむものではなく科学は信じるものではない

念仏で浄土に行くのか
地獄に行くのか知らないという親鸞の返答は、
日蓮上人の影響

☆☆☆☆☆
難易度2/5 推薦度2/5

科学は信じるものではないというのは至言。
信じる、信じないという言葉の目的語にするものではないということ。



jodowo.jpg 『浄土を生きる』
桜井鎔俊(浄土真宗)
法蔵館(2006)


浄土肯定の二つの方法。
天親菩薩の願生心と観無量寿経の実践的方法

凡夫と仏の違いは石炭とダイヤモンドの違い

阿弥陀仏は名そのままが体
如来は体がそのままで国土であり名号

日本の小釈迦源信僧都の子供の頃のとんち
真宗の安心というものは聞くということで開けるというのが原則

☆☆☆☆☆
難易度2/5 推薦度2/5

修行より聞くこと。



jigoku_.jpg 『地獄と極楽:その現実的意味』
稲城選恵(浄土真宗、光蓮寺住職)
法蔵館(2007)


戦争の始まった十二月八日は大安吉日だった
仏教では地獄はあるものではなく、造るものである。

独来独去無一随者。
独り来たりて、独り去る、一として随うものなし

浄土真宗の教義で、
禁忌とされているのは、
神仏に対する現世祈祷

一遍上人の時宗は平生往生、
浄土宗鎮西派は臨終業成、
親鸞の平生業成

1460-1461年の大飢饉で京都でも8.2万人の餓死。
日本の人口の三分の二が餓死

信仰をうるためには知性を放棄しなければならない。カント
煩悩を断つと現実の上で越えることが可能となる。良寛など
心的事実の真理が浄土真宗の真理

死後の霊魂の有無などをきくことは、
あたかも牛の角を絞って
乳が何リットル出たかと聞くようなものだ。龍樹

☆☆☆☆☆
難易度2/5 推薦度2/5

神仏に対する現世祈祷を否定するのは、
反迷信の精神は現代的と言えるかも。



gohongan.jpg 『ご本願のすくい』
瓜生津隆真(浄土真宗)
自照社出版(2006)


他力の他は如来
他力を利他としばしば言い換える
十字名号。帰命尽十方無礙光如来
信仰は西洋の言葉。仏教は信心

北御堂と南御堂がありその前を通る通りが御堂筋

如来の本願力は、
人間が努力して出遇うものではなく、
むしろ人間の力が尽きたところに思いがけず現れ聞こえてくださる救い

☆☆☆☆☆
難易度2/5 推薦度2/5

"努力して"と"力が尽きたところ"の違いが難しい。



henreiki.jpg 『仏教思想の遍歴:空海から親鸞へ』
上山春平(哲学者)
角川書店(1977)


善の研究は
学問道徳の本に宗教がなければならぬ
という信念にもとづいて書かれている
善の研究にはキリスト教を否定し
仏教を支持する立場が示されている

中江兆民。禅を好んだ

小自我が自覚的一般者においてある意識的自己
神と同じき大自我が叡知的一般者においてある超越的自己

真の善とは真の自己を知ること。
真の自己は宇宙の本体である。
真の自己を知ると人類一般の善と合する。
宇宙の本体と融合し神意と冥合する。
宗教と道徳はここに尽きる。
主客合一の力を自得するにあるのみ

ベルクソンの純粋持続、内面的持続、
西田の純粋経験、
ジェイムズの意識の流れ

西田は現代思想の課題を仏教的観点から解決しようとした
西田。意識現象が唯一の実在である。
華厳。三界は虚妄にして、但是れ一心の作なり

竜樹は中論で釈尊が無記とした非仏教の見解を般若の空の立場から論破しようとした
あらゆるものが有るのではなくあらゆるものが無いのでもない。中道、縁起、空
竜樹の空観はカントの批判に通じる
カントの批判はソクラテスの無知の再構成であり、竜樹の空観は釈尊の無記の理論的再現
テーゼとしてのアビダルマ、アンチテーゼとしての中観、ジンテーゼとしての唯識

カントの悟性と理性の対立を
ヘーゲルは悟性と否定的理性と肯定的理性に置き換えた
悟性は経験に制限された思考
ヘーゲルの弁証法論理学。
ヘーゲル自身は思弁的論理学と呼んだ
思想の発展の理論

☆☆☆☆☆
難易度2/5 推薦度3/5

龍樹の解釈は、人によって見事に割れるな。定説はないのかな。



daijo_jo.jpg 『大乗としての浄土』
山口益(浄土真宗)
理想社(1963)


如来=真如から来た、
説法する存在

正覚を成就した仏陀が、
説法する如来となった

空に空性、空用、空義の三態がある

本願:mula-pranidhana
宿願:purva-pranidhana

龍樹が帰命する仏陀は禅家が崇敬する菩提樹下直下の仏陀ではなく、
鹿野苑で説法するに至り、如来として展開した仏陀である

仏道をきわめていく菩薩の勤修すべき五明処。
仏教学、論理学、文法学、医学、技芸学

菩薩は智慧あるが故に生死に住せず、
慈悲あるが故に涅槃に住せず。
南無阿弥陀仏:namo mitabhaya buddhaya

☆☆☆☆☆
難易度4/5 推薦度2/5

龍樹の十住毘婆沙論と世親の浄土論の解説。



『人間という病』
稲城選恵(浄土真宗、光蓮寺住職)
自照社出版(2006)


人間は誰しも死刑囚であり、
人間の世界そのものは
人生という名称の死刑収容所にいるのである。
フランスの作家

亡くなった人は還相回向の菩薩
義なきを義とす。法力房に与えるの書。にある法然の言葉
他力とはまさしく縁起を意味するもの
ありがとう=あることかたし=すべてのものに生かされている

黙祷は戦争用語
仏教では天国は六道の世界の一つであり、迷の世界
ご冥福を祈るは死者を侮辱する言葉
黙祷の代わりに一同合掌が最も適切

☆☆☆☆☆
難易度2/5 推薦度2/5

良寛は親鸞よりずっと後の人だと思うのだが……
いろいろとおかしな認識がある。

タグ:寺川俊昭
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