西行(岩波新書) [本(人物伝記]
『西行』
高橋英夫(文芸評論家)
岩波新書(1993)
佐藤義清。
1118年生まれ。
平清盛と同い年
成功による任官。金による買官
知らざりき 雲居のよそに 見し月の かげを袂に 宿すべしとは
雲居のかなたに仰ぎ見る月に、私は思いをかけた。だがそれは叶わず、袂に涙がたまった。しかしその涙に月かげを宿すことになろうとは、思いもかけぬことだった。
西行の悲恋の相手は待賢門院璋子。17歳年上
真言密教への関心と浄土信仰への傾斜
西住。源季正、出家以前からの友人。同性愛的なまでの友人
こととなく 君恋ひわたる 橋の上に あらそふものは 月の影のみ。西住
何かどういうわけでもないが、君を恋しく思い続けながら、私は奥の院の橋を渡っていった。その思いと競いあえるものといっては、月の光しかなかった。
思ひやる 心は見えで 橋の上に あらそひけりな 月の影のみ。西行
君を思いやる私の心は見えなかったのか。橋の上で君の思いと競いあっていたのは月かげだけだったのか。
『新古今和歌集』に西行の歌が最多の94首
文覚。遠藤盛遠、恋慕した人妻袈裟御前を誤って殺したため剃髪して僧となる
高野山の奥で人骨を拾い集めて人間を作ろうとして失敗。
色が悪く心がなく声は管弦のよう
たれをかも 知る人にせん 高砂の 松も昔の 友ならなくに。藤原興風
自分ひとりが生き残ってしまった今、いったい誰をわが友としたものか。高砂の松でさえ昔からの友ではないのだから。
山家集は1552首
西行の動、芭蕉の静
☆☆☆☆☆
難易度3/5 推薦度4/5
西行の人造人間作成の話は怖いな。SF小説とかネタになりそう。
屋根に鳶を止まれなくした左大臣家への怒り。
西行が今の日本の公園や歩道橋下のホームレス避けを見たらなんと思うだろう?
それどころか、ある大阪の大きな寺の壁が一面ずっとホームレス避けになってるもんな。
西行なら、こんな寺は仏教の寺じゃない、慈悲のかけらもないと怒るだろうね。
・今日の一言(本文より)
西行が左大臣家に来てみると、寝殿の棟に縄を張って鳶が止まれないようにしてあった。これを見て西行は「鳶が止まったところで、何のいけないことがあろうか」と疎ましい気持ちになり、帰ってしまった。
사이교(西行)가 좌대신(左大臣) 저택에 와 보니까 신덴(주인이 기거하는 사랑채)의 용마루에 줄을 쳐서 솔개가 앉을 수 없도록 하고 있었다. 이것을 보고 사이교는 "솔개가 앉아 보았자, 무슨 문제가 있겠느냐?"라고 보기도 싫은 기분이 되어 돌아가버렸다.
西行来到左大臣的家,看到为了不让老鹰落在正殿的屋脊上,拉着绳子,心想:"老鹰落在屋脊上有什么不好?",他觉得不快,就回家了。
When Saigyo went to the Minister of the Left's house there was a rope stretched around the ridge of the main house to stop black kites from perching there. Seeing this he thought, "What is bad about a black kite perching there?" and gave him an unpleasant feeling so he went home.
高橋英夫(文芸評論家)
岩波新書(1993)
佐藤義清。
1118年生まれ。
平清盛と同い年
成功による任官。金による買官
知らざりき 雲居のよそに 見し月の かげを袂に 宿すべしとは
雲居のかなたに仰ぎ見る月に、私は思いをかけた。だがそれは叶わず、袂に涙がたまった。しかしその涙に月かげを宿すことになろうとは、思いもかけぬことだった。
西行の悲恋の相手は待賢門院璋子。17歳年上
真言密教への関心と浄土信仰への傾斜
西住。源季正、出家以前からの友人。同性愛的なまでの友人
こととなく 君恋ひわたる 橋の上に あらそふものは 月の影のみ。西住
何かどういうわけでもないが、君を恋しく思い続けながら、私は奥の院の橋を渡っていった。その思いと競いあえるものといっては、月の光しかなかった。
思ひやる 心は見えで 橋の上に あらそひけりな 月の影のみ。西行
君を思いやる私の心は見えなかったのか。橋の上で君の思いと競いあっていたのは月かげだけだったのか。
『新古今和歌集』に西行の歌が最多の94首
文覚。遠藤盛遠、恋慕した人妻袈裟御前を誤って殺したため剃髪して僧となる
高野山の奥で人骨を拾い集めて人間を作ろうとして失敗。
色が悪く心がなく声は管弦のよう
たれをかも 知る人にせん 高砂の 松も昔の 友ならなくに。藤原興風
自分ひとりが生き残ってしまった今、いったい誰をわが友としたものか。高砂の松でさえ昔からの友ではないのだから。
山家集は1552首
西行の動、芭蕉の静
☆☆☆☆☆
難易度3/5 推薦度4/5
西行の人造人間作成の話は怖いな。SF小説とかネタになりそう。
屋根に鳶を止まれなくした左大臣家への怒り。
西行が今の日本の公園や歩道橋下のホームレス避けを見たらなんと思うだろう?
それどころか、ある大阪の大きな寺の壁が一面ずっとホームレス避けになってるもんな。
西行なら、こんな寺は仏教の寺じゃない、慈悲のかけらもないと怒るだろうね。
・今日の一言(本文より)
西行が左大臣家に来てみると、寝殿の棟に縄を張って鳶が止まれないようにしてあった。これを見て西行は「鳶が止まったところで、何のいけないことがあろうか」と疎ましい気持ちになり、帰ってしまった。
사이교(西行)가 좌대신(左大臣) 저택에 와 보니까 신덴(주인이 기거하는 사랑채)의 용마루에 줄을 쳐서 솔개가 앉을 수 없도록 하고 있었다. 이것을 보고 사이교는 "솔개가 앉아 보았자, 무슨 문제가 있겠느냐?"라고 보기도 싫은 기분이 되어 돌아가버렸다.
西行来到左大臣的家,看到为了不让老鹰落在正殿的屋脊上,拉着绳子,心想:"老鹰落在屋脊上有什么不好?",他觉得不快,就回家了。
When Saigyo went to the Minister of the Left's house there was a rope stretched around the ridge of the main house to stop black kites from perching there. Seeing this he thought, "What is bad about a black kite perching there?" and gave him an unpleasant feeling so he went home.
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