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進化という謎(現代哲学への招待Japanese Philosophers) [本(生物学]

『進化という謎』
松本俊吉(科学哲学、生物学の哲学)
春秋社(2014)


混迷する議論の解剖学

間違った前提に立って
間違った結論を導いていたとしても、
その論証過程が非凡なものであれば、
哲学の議論としては価値があるのである。

起源論的誤謬 genetic fallacy
ある対象の現在の機能や存在理由の正当化の問題と、
そのもともとの起源や由来の歴史的説明の問題との混同。

現時点で還元できないからと
創発性や絶対的還元不可能性を主張するタイプの議論は
科学史において論破されてきた。

遺伝的な差があるのは形質の差異
遺伝率の概念は一個人の形質には適用できない
世間はしばしば遺伝子選択説を遺伝子決定論と取り違えている
エボデボ研究者が注目するボールドウィン効果

有性生殖においては卵の細胞質に含まれる
微小管、膜構造、細胞内小器官、細胞質内の
化学物質の勾配なども遺伝される

バージェスを起点にしてテープを百万回リプレイさせたところで、ホモサピエンスのような生物が再び進化することはないだろう。グールド
Replay the tape a million times from a Burgess beginning, and I doubt that anything like Homo sapiens would ever evolve again.

自然法則といえるには
反事実的条件文をサポートしていることが必要

目的論は生物学者にとって情婦のようなものだ。彼は彼女なしには生きられないのに、彼女と一緒に公衆の面前に出ようとはしない。ホールデン
Teleology is like a mistress to a biologist: he cannot live without her but he’s unwilling to be seen with her in public.

適応というより外適応。グールド
exaptation rather than adaptation

生物学は工学である。デネット
Biology is engineering.

ドーキンスは遺伝子geneより対立遺伝子alleleが自然選択の単位。
遺伝子の目から進化を見ることが利己的遺伝子説。

ハミルトンは芭蕉を敬愛
ヘッケルの法則の修正版フォン・ベアの法則

☆☆☆☆☆
難易度3/5 推薦度3/5

本の中心はドーキンスvs.ソーバー。
適応主義的推論はヒューリステックスというべきか。

・今日の一言(本文より、ファインマン)
科学者にとって科学哲学が役立つのは、鳥にとって鳥類学が役立つ程度である。
Philosophy of science is about as useful to scientists as ornithology is to birds.
과학에 있어서의 철학은 새에 있어서의 조류 학자와 마찬가지로 도움이 된다.
对科学家来说的哲学像对鸟类来说的鸟类学者一样有用。

タグ:松本俊吉
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