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光武帝の誕生日ということで後漢関連でここ一年に読んだ本 [光武帝劉秀(Emperor Guangwu)]

guangwudi.jpg光武帝伝ノーカット版(臨時公開中)
光武帝がどんな人か、歴史的に知りたい人は是非読んで欲しい。小説で描かれた人物像とは相当違うことがわかると思う。またネット上で出回っている情報はかなり間違っていることも知って欲しいところ。



kodainoshuraku.jpg 『中国古代の聚落と地方行政』
池田雄一(東洋史)
汲古書院(2002)


下級役人は貧乏だなー、と。
この本は定価15000円と高いなー、と。



『前漢政治史研究』
好並隆司(中国古代史)
研文出版(2005)


故事:漢王朝の政策
古制:周公による政策
皇帝は外朝の頂点、天子は内朝の頂点


『儒教と中国』
渡邉義浩(中国古代史)
講談社(2010)


天人相関論:
月と人体の大きな関節12、
日と小さな関節366、
五臓と五行、四肢と季節、
寝起きと昼夜。人体は小宇宙

劉秀は政治学者
図讖を戯事に済ましてしまう合理主義者



『王莽:改革者の孤独』
渡邉義浩(中国古代史)
大修館書店(2012)


王莽が古典中国の形成に最も貢献した
王莽は班固の祖父と同僚であり兄弟のような関係

白虎観会議は政治的には、
王莽が古文学を中心に形成した中国の古典的な国制を
『春秋公羊伝』に代表される今文学により、
経学的に正統化しようとするもの
十四項目で十が王莽に関連。ただし王莽提案は四つ


『風俗通義(中国古典新書続編)』
中村璋八(緯書)
明徳出版社(2002)


文帝の治世は宣帝ほどではない


『古代中国の考古学』
岡崎敬(考古学)
第一書房(2009)


居延漢簡
弩には1,3,4,5,6,7,8石のものがあった。
張是で張氏の意味
広陵王爾が劉荊に与えられたのは漢委奴國王印の与えられた翌年。三角縁神獣鏡は日本の使いの鏡の要求に対して魏側で特別に製作したのではないか

『稲作の考古学』
岡崎敬(考古学)
第一書房(2002)


杜詩がふいごを作って農器を鋳造。
衛颯が来陽で鉄工場。任延が農具を鋳作
河北の作物の中心はアワ
コムギは後漢から盛んに
四川は稲魚を食う
公孫述が馬援に与えようとしたのは木綿
滇王之印
鉄製の釜や鍋が民間にゆきわたるのは漢のつぎの時代



shokei.jpg 『「書経」の帝王学:リーダー学の原点』
守屋洋(中国文学)
プレジデント社(1998)


つねに天の声、民の声に耳を傾けること
刑罰を設けるのは刑罰など必要としない
世の中を実現するのが目的である
無為の政治の堯舜は儒家の理想
精励のうちに一生を終えた禹は墨家の理想
自分以下の人間ばかりに取り囲まれている王は必ず滅ぶ

『書経 上 新釈漢文大系 (25)』
加藤常賢
明治書院(1983)


周王が同族の子弟を
諸国に領主として封建するに際して、
領主としての政治上の心構えを訓戒した
詔書類あるいは戦に臨んでの檄など

テキストの半分は東晋の偽作
この巻は真古文

『書経 下 新釈漢文大系 (26)』
小野沢精一
明治書院(1985)


この巻は偽古文
他の書籍に引用された部分を集め、
足りない部分を肉付けしたもの。


『全譯後漢書 第7册』
范曄
汲古書院(2012)


建武三年七月洛陽の干魃。
南郊外で光武帝が雨乞いすると雨が降った。

☆☆☆☆☆
陛下は雨を降らす能力まであるのか……



『睡虎地秦簡『編年記』『語書』釈文註解』
高橋庸一郎
朋友書店(2004)


白川静の影響が大きい
語書。南郡守騰が発した文書
法、律、令とは、人民を教え導き、
そのよこしまな所を取り除き、
そのよくない風俗をやめさせて、
人民に善を行うようにさせるものである。



『地不爱宝:汉代的简牍』
邢义田(歴史学)
中华书局(2011)


(地不愛宝:漢代の簡牘)
木簡の史記は何と55kg以上に。ローマ人村の幻想についての研究。まさか発端は顔師古だったとは……。後半は研究者の伝記と研究の歴史。



『画为心声:画像石、画像砖与壁画』
邢义田(歴史学)
中华书局(2011)


(画為心声:画像石、画像レンガと壁画)
秦漢の画像分析。ヘラクレス像がインドを経て仏教化して中国に到達するまでの分析。七人の娘が父の仇である長安令を襲撃する話は武侠映画みたいで興味深い。



『治国安邦:法制、行政与军事』
邢义田(歴史学)
中华书局(2011)


(治国安邦:法制、行政と軍事)
台湾の秦漢史研究者が木簡資料を中心に地方行政を分析する論文集。日本の研究者の引用も多い。徴兵が識字教育になり兵役から帰ると学力がつくのが面白い。



『天下一家:皇帝、官僚与社会』
邢义田(秦漢史研究)
中华书局(2011)


(天下一家:皇帝、官僚と社会)
台湾の秦漢研究者の論文集。劉秀の身長169cmは漢代の成人男性の平均身長ピッタリらしい。光武帝が儒家歴史家に嫌われていたらしいのが興味深い。みんな光武帝より王莽が好きなの。



『东汉:民族强盛的起点』
李硕
时代文艺出版社(2011)


(後漢:民族発展の出発点)
後漢について多様な角度から解説している。文物の写真も多い。たくさんの著者の文章の寄せ集めで、質の落差が凄い。大半はひどい出来だが、一部よく書けているものもある。

あきれたのは軍制の解説部分で、ずっと前漢の解説が続き、後漢での改正部分に全く言及せずに終わり。前漢と後漢じゃ全然違うのに、一体この本は何なのか?

光武帝と後漢については日本、中国、さらに韓国のまでたくさん読んでいるが間違いがない本というのが一つもないのが凄いと思う。たいていの本には無数の間違いがあるし、解釈はともかく単純な原典の読み間違いもしばしば。いかに光武帝が歴史家から無視されてきたよくわかる。



『秦汉简牍中法制文书辑考』
高恒(法律思想史)
社会科学文献出版社(2008)


(秦漢簡讀法制文書論考集)
秦漢の法律を木簡史料などから再現する。びっくりしたのは秦では成人と未成年の区別は身長ということ。年齢に関係なく150cm以下は未成年、さらに140cm以下だと義務も権利もない。



『張衡詩文集校注(精装)』
張衡
上海古籍出版社(2009)


(張衡詩文集)
後漢時代で最も著名な科学者にして詩人の張衡の著作集。天文学や地震計で有名な人。詩はやはりとても難しい。実はこの人の発明した地震計のせいで後漢は地震が頻発したように見えるのだ。



『東観漢記校注(全2册)』
劉珍,等
中華書局(2008)


(東観漢記)
後漢の歴史の基本史料。『後漢書』より面白い生のデータが詰まっている。ただし集め直しの本なので、断片的なのが残念。光武帝もこの本を読まないと真実の姿は全くわからないのだ。



『風俗通義校注(上下)』
応劭
中華書局(2010)


(風俗通義)
後漢時代を中心にした当時の雑学の本。南陽の南陽酈県甘谷の菊水が風眩に効くというのは気になる。光武帝も風眩になり、南陽の郷里に帰郷しているからだ。劉邦が項羽に捕まりそうになったとき、鳩のおかげで助かったというのも面白い。

タグ:光武帝
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