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日本経済の奇妙な常識(講談社現代新書) [本(日本の問題]

『日本経済の奇妙な常識』
吉本佳生(エコノミスト)
講談社現代新書(2011)


面白い視点は得られるものの、
微妙にずれたピンぼけ本。

資源の国際価格と日本の国内物価の関係。
資源価格が上がると日本の物価が逆に下がってきたという。
日本の物価下落が国際資源価格を高騰させるのだとか。

デフレの深刻さ。
GDPデフレーターでは98-09で16.3%の物価下落。
賃金指数は98-09年で6.5%低下。
賃金デフレが日本経済の真の問題点とする。
国際資源価格の高騰のたびに賃金カットが起こる。
賃金引き下げによるコスト吸収が日本で多いのは
労働組合が職能別組合でなく企業別であるため。

98年から経済格差がどんどん拡大する社会に変わった
98年の円高対策がやりすぎで投機マネーを成長させた

日中の米国債を売却しても暴落は起こらない。
米国債も米国内で購入されている分が多いからである。

円高とは何か?
明治七年1874年は一ドル一円以下だった。
ビッグマック購買力平価と円相場はほぼ一致しているとする。

私にはビッグマック購買力平価なんてものに
意味があるとは思えないのだが……

著者はリフレ政策に批判的で、
日本の企業部門の貯蓄過剰体質を改善しないと
日本経済は復興しないとしている。
サービス業での賃上げからすべしという。

著者は因果関係とは何かという論理思考に欠陥があると思う。
日本の企業部門の貯蓄過剰はデフレが原因だからだ。
デフレ経済では、企業も投資したり賃金として放出するより
貯蓄するのが有利なのだ。
デフレ経済では借金して投資するのは不利だから、
事前に貯蓄しておかざるを得ないのである。

・今日の一言(本文より)
国内消費市場が十分に成長している国こそが強力な経済力をもっている。
국내소비시장이 충분히 성장하고 있는 나라가 바로 강력한 경제력을 가지고 있다.
国内消费市场十分发达的国家才有强大的经济力。
Only countries whose consumer market grew enough have large economic power.

タグ:吉本佳生
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