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市場競争の原理で賃金を決定してはいけないのはなぜか? [考えたこと]

労働者の賃金は大きく3種類に分類される。

a.誰でもできる仕事
誰でもできる仕事は、募集に対して応募する人の方が多い。こうした求人が募集より多い、人の余っている産業は、0円に向けて低下する。ただし最低賃金で下げ止まる。アルバイトや派遣など。

これらの仕事の賃金は最低賃金の数値によって決定しており、市場競争によって決まっているのではない。市場競争の原理ではほぼ0円の仕事である。低賃金よりましな仕事も、それは最低賃金の仕事よりはよいという主張であり、やはり最低賃金によって決定されている。

b.あなたにしかできない仕事
特別な能力を使うため、欲しい人を見つけるのが困難な仕事、募集に対して求人の不足する産業では、会社が支払い可能な最大値まで上昇する。プロ野球選手などがわかりやすい。

この給与もまた市場競争の原理で決定されているのではなく、会社の支払い能力によって決定されている。

そして、
c.あなた以外はしてはいけない仕事
法律やその他の条件によって、できる人がいてもしてはいけないことになっている仕事。コネで得た仕事など。a.とb.の二つの極端な給与の中間的になる仕事には必ず参入規制があるのだ。公務員、マスコミなど。

この労働賃金体系の問題点の一つは、a.とb.が社会状況によって入れ替わること。ある瞬間から突然a.がb.になったり、b.がa.になったりする。あまりに変動が大きいため生活が崩壊してしまう。

a.の賃金は基本的にまともな生活はできないが、労働者の圧倒的多数はここに入る。a.の増大は消費不況を引き起こす原因でもある。最低賃金が歯止めとなっているので、最低賃金を下げるとそれにともなって実際の給与も低下し、消費不況を悪化させる。

労働賃金はそもそも市場競争の原理では決定できないのである。それはなぜか?

経済学者カール・ポランニーの指摘がある。労働、土地、貨幣は本来商品ではない。

労働、土地、貨幣は総量が決まっていて生産できないからだ。通常の商品は需要が供給を上回ると価格が上がり、買わないという選択をする人が増え、その後、供給も増加する。供給が需要を上回り価格が下がると、安いからという理由が買う人が増え、その後、供給が減少する。その結果、適切な価格に安定する。

ところが総量が決まっているものは、供給量を調整することができないため、価格が0もしくは∞へ向けて跳ね上がるのだ。労働力の場合、価格の上限は会社の支払い最大値、下限は最低賃金となってしまう。

この賃金体系では、労働時間や労働者の嫌悪や心身の疲労、技術獲得までの難易度など、その他の要素がすべて無視された給与になってしまう。代わりがいるかいないかだけが給与の基準になってしまうのだ。

すなわち、労働、土地、貨幣は単なる市場経済として扱うべきではなく、適切な参入規制が必要なのである。あるいは、産業別の労働組合に全員が強制加入させるなど、何らかの方策がない限り消費が減退して経済が衰退してしまうのである。

タグ:市場競争
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