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病が語る日本史(講談社学術文庫) [本(科学史/医学史]

『病が語る日本史/酒井シヅ/講談社学術文庫/2008』
著者:医史学、医学博士
評価:病気別に日本史の例を解説する


飛騨国のスクナはシャム双生児。
こうした奇形が生きのびると霊力があるとして、
呪術師となり高い地位についた。

光明皇后天平2年4月施薬院を設ける。
美貌の光明皇后は自ら千人の垢を洗う。
千人目の膿まみれの病者は仏の化身という。
古代のナイティンゲールっぽい。

日本武尊は脚気
三条天皇は緑内障
信玄は胃ガン
蒲生氏郷は大腸ガン

鎖国の江戸時代も病気は鎖国できず。
江戸のインフルエンザの流行は世界の流行に連動した。

結核の恐ろしさ。
1975年まで死因トップは結核だった。

ハンセン病患者の苦難の歴史。
らい者が仏の化身という見方から、
働くことを嫌う浮浪者、そして性欲が強いという偏見へ。

『正倉院薬物の世界/鳥越泰義/平凡社新書/2005』
著者:日本薬史学、生薬、植物化学、薬学
評価:正倉院の成り立ちとその薬物の由来が興味深い

中国の毒鳥・鴆はモリモズ属のズグロモリモズ。
皮膚に毒性の強いステロイド系アルカロイド、
ホモバトラコトキシンがあるらしい。

黄帝内経の言葉:聖人は未だ病まざるを治す
体調不良のレベルからとらえるのが漢方。
いわゆる西洋医学は病気を見て人を見ないと揶揄されるが、
それは科学の側面のみをみてしまうためである。

科学とは、万人のためのものであり、個人のためのものではないからだ。
個人特有の人体をとらえるのではなく、
万人に共通する病気をとらえるからである。
医学はアートであって単に科学であってはならないのである。

『気の自然像/山田慶児/岩波書店/2002』
著者:中国医学史、科学史
評価:科学の観点から見た気の思想史

章炳麟
正と負の成果は相互に依存する。
正の成果があって負の成果がないことはあり得ない。
自然と人間を一体と見なす思想も負の成果を生み出す可能性を持つ。

当たり前だが、漢方薬にも副作用はある。西洋医学と同じである。

中国医学の概念は、
基本的なものもなお分析し明確化し再構成できるし、
それが必要であるという。
同感である。
概念を精緻化し、未病の医学、
バランスの医学へと進むことができると思う。

『近代科学の誕生(下)/H.バターフィールド/講談社学術文庫/1978』
著者:歴史家
評価:科学誕生の秘密を探る

神のよる奇跡の証明から神による秩序と整合性の証明への変化。
法則がないことが神の証明だったのに、
法則があると神の証明になることに変わったわけ。

西欧文明の方向を決定づけたのはフランスのフィロゾーフ運動。
科学啓蒙運動が力を発揮したのだ。

錬金術は科学思考に貢献したのではなく、
科学の恩恵を受けて発達したという。
オカルトなど錬金術を科学の卵として評価することがあるが、
それは順序が逆なのである。

『街角の科学誌/金子努/中公新書ラクレ/2007』
著者:科学思想史
評価:科学史エッセイ集

タレスの日食予言は、紀元前585.5.28。
これをもって科学が始まるのである。

動物学者としてのアリストテレス。
アリストテレスはクジラと魚を区別していた。
どこを基準にしたのか気になる。

日本海と太平洋へと分かれる標高338mの分水嶺。
山形県最上郡最上町大字堺田にある。
山形と宮城の間ってこんなに低いのに驚き。

・今日の一言
らい者はかつて仏の化身と考えられた。
Leprosy patients were formerly regarded as a Buddha incarnation.
나병 환자는 옛날에 부처의 화신이라고 생각되었다.
麻疯病患者曾经被认为是佛的化身。

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