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刑法入門(岩波新書) [本(法律と犯罪]

『刑法入門/山口厚/岩波新書/2008』
著者:刑法学
評価:犯罪とは何かを知る良書。本物の論理思考の訓練にもなる。


刑罰の目的を犯罪予防と見たときの問題点。
犯罪予防のために処罰することは、
個人を他人の目的のための手段として物のように扱うことになる。
カントの倫理に反するのだ。
カントやヘーゲルは応報刑を支持している。

他行為可能性とは、犯罪をしないで他の行為ができたこと。

さまざまな例題。
死刑執行事例。
被害者の父が職員を押しのけて執行ボタンを押すと殺人か?
毒薬事例。
毒殺しようと毒を飲ませたが他の人も別の毒を入れていた。
どちらも犯人の行為がなくても結果は同じだが、
上記は殺人でなく、下記は殺人。

また幼児の養育を放棄して死なせてしまうような、
あるいは失火を放置した場合のような、
無為による殺人をどう解釈するかも面白い。

相当因果関係。異常な事態の介在する因果は否定する。
不作為処罰には法的な作為義務が前提となり、
作為義務の違反が作為の結果と同価値である場合、
作為の規定で不作為を処罰できる。
法律、契約、先行行為を作為義務の根拠とする。

過失とは故意でなく、注意すれば犯罪事実を認識予見できた状態。
過失致死罪は50万以下の罰金。
業務上過失致死は懲役5年以下。
自動車運転過失致死傷罪は7年以下。
結果は殺人と同じでも刑罰は全く異なる。

正当防衛の特徴。
逃げることができても逃げる必要はない。
また攻撃より重く反撃してもよい。
正当防衛とは、
不正な侵害から自己又は他人の権利を防衛すること。
権利を守るというのがミソ。

・今日の一言
死刑執行のとき被害者の父が職員を押しのけて執行ボタンを押すと殺人か?
If victim's father pushes a staff away and presses the execution button, is it a murder case?
사형 집행 때 피해자의 아버지가 직원을 밀어내고 집행 버튼을 누르면 살인인가?
在执行死刑的时候,受害者的父亲推开职员,自己按执行死刑按钮的话,这是杀人事件吗?

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