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外国語学習の科学-第二言語習得論とは何か(岩波新書) [本(言語学]

『外国語学習の科学』
白井恭弘(言語学、言語習得論、応用言語学)
岩波新書(2008)


良書。本当の語学学習を知るべし。

英語はどこでも悩みの種。
韓国では英語の発音ができるように舌に手術が流行ったそうな。
ただし韓国人の方が英語ができる。
TOEFLの成績。日本は18000人受験で平均65点。
韓国は32000人受験で平均72点である。

言語は習熟度の近い言語で混同が起こるらしい。
そういえば、私は中国語-日本語-英語の混同はないけど、
最近、中国語と韓国語で混同が出るようになった。
韓国語が中国語の水準に追いついてきたということか。
……やっぱり韓国語の方が簡単だ。

英語と日本語の違い。
英語では日本語で自動詞を使うところで受身を使うらしい。
しかし受身を避けて無生物主語を使うとも聞く。
このあたりまだ感覚がつかめないな。

子供の外国語習得は別に早くない。
大人のほうが早いが子どものほうが優れている。
older is faster, younger is better
これ、言語学の常識。
子供が言葉を覚えるのが早いという人がいれば、それは素人の証拠。

第二言語は言語領域ごとに臨界期がある。
発音は6歳ぐらい。

日本人が苦手なLRの発音。
赤ちゃんが区別できるだけでなく、チンチラにもできるらしい。

言語学習法には適性がある。
飛び抜けた記憶力を持つから記憶ストラテジーが使える。
普通の人に同じようにできるとは限らない。
言語分析と暗記中心はそれぞれ適性が合う人が成績がよい。
記憶力に自信がある人は暗記中心に、
論理好きは文法中心にやればよいのだ。

女は男より言語に強いのは生まれつき。
生まれて一日の赤ちゃん。
女の子は人の顔を、男の子はモビールを長く見るのだ。
これは、女の子は中心視野-側頭葉ルートが、
男の子は周辺視野-頭頂葉ルートが早く発達するから。

語学ではインプットが重要。
大学入試のリスニングの比率を50%にすれば効果的という。
小学校の早期英語もリスニング中心でやればよいように思う。

世界の趨勢はコミュニカティブ・アプローチ。
日本では文法訳読方式の擁護が目に付くという。
全く同感で、日本人には何か勘違いしている人が多いと思う。
文法訳読方式で成功した一部の人の認知的不協和に騙されてはいけない。

投射モデル。
難しい用法を教えれば簡単な用法を同時に習得されること。
簡単な内容より難しい内容を学ぶ方が効率がよいのだ。
コウビルド英英辞典の例文が正しい理由でもある。

単語は文脈の中で覚えること。
これは語用論など他の情報と一緒になり効率的だから。

分野をしぼってインプットすること。
これは単語が関連するため効率的だから。

リスニングは80%以上わかる教材を使う。
わからない音はしょせんノイズなのだ。

子どもには言語分析適性は関係なく記憶力のみが関係する
これと、例外的に思春期を過ぎて成功した学習者は、
みな高い記憶力の持ち主であることをまとめると、
大人の場合、記憶力と分析能力が両方高い場合のみ、
外国語がネイティヴ水準になったということ。
子どもから始めた場合、記憶力のみが影響して分析能力は不要。
イマージョンのような外国語漬け環境があれば、分析力の影響は少ないようだ。

分析力が高いが記憶力が低いタイプは、
母語の影響が強く現れるので、
個人レッスンなどで矯正してもらう必要があるだろう。
記憶が不足するとは例外に反応できないということだからだ。

記憶力は高いが分析力が低いタイプは、
外国語環境を整えてインプットを非常に大きくする必要がある。
法則性を取り出すのに数が必要なのだ。
留学が効果的なのも高記憶力タイプである。

・今日の一言
韓国では英語の発音ができるように舌に手術が流行った。
한국에서는 영어 발음을 할 수 있도록 혀를 수술하는 것이 유행했다.
The operation of the tongue to improve their pronounce English has been prevalent in South Korea.
在韩国为了说流利的英语进行舌头的手术很流行。

タグ:白井恭弘
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