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中国社会はどこへ行くか-中国人社会学者の発言 [本(中国事情]

『中国社会はどこへ行くか』
園田茂人(比較社会学、現代中国研究)
岩波書店(2008)


現地中国の分析を知る。良書。

農村の悲惨な教育環境。
子どもが中学高校に通うと
農村世帯収入の半分が教育費に消える。
それで西部貧困地域の学費を
無料化したりしているらしい。
2006年、農村の所得の伸びは7.4%。
今、都市と農村の格差修正に必死である。

今の共産党指導部は人気がある。
江沢民の悪口は言っても、胡錦濤と温家宝は批判にさらされないという。
良いイメージを持たれているのである。
まあ、見た感じはとてもおとなしそうな人たちだけど……

都市は出稼ぎでもっている。
都市のホテルやレストランでは農村出稼ぎが70-80%。
建設業と製造業でも半数を占める。

中国人の持つ誤解。
アジア系企業の労働条件が過酷というステレオタイプ。
欧米企業を高く評価する傾向があるのだ。
東洋人の西洋人コンプレックスはなかなかなくならない。

ただ一つには、日本の企業の場合、暗黙の指示という問題があり、
明言して指示しないため、
相手に強く印象づけてしまうことがあるようだ。

女性が家に戻れば福祉が充実するという観念は中国にはないという指摘。
というか、日本にはそんなことを考える馬鹿がいるのか……

ジニ係数最大国ブラジルではなぜか階層意識では中流が多い。
対して中国では下流が多いという。
これはブラジルの上流があまりに隔絶しているから、
みんなそこを無視するから中流と思うんじゃないかな。
上流社会は人種も文化も違うしね。
対して中国では上流といえども同じ人間と思っている。
中国の方が平等意識が強いからこうなるのだ。

著者は、日本人の中国人への見方と、
中国都市民の農村への見方が類似することを指摘している。
自分たちの仕事を奪う汚い奴らと感じているのだ。
人は環境で思考するというのがよくわかる例である。

共産党員に儒教が必要という考えがあるらしい。
何か中国独自の思想が必要とされているのだ。
儒教の本来持つ雑家としての包容性が発揮されれば、
新しい思想が生まれるかもしれない。

・今日の一言
都市民が出稼ぎ農民に思うことと、日本人が中国人に思うことは同じだ。
The thinking of urban people about the rural migrants and the thinking of Japanese about Chinese are very similar to each other.
도시민이 객지벌이 농민에 대해 생각하는 것과 일본인이 중국인에 대해 생각하는 것은 똑같다.
城市人民对农民工的想法和日本人对中国人的想法是一样。

タグ:園田茂人
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