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「痴呆老人」は何を見ているか(新潮新書) [本(医療問題]

『「痴呆老人」は何を見ているか』
大井玄(国際保険、地域医療、終末期医療)
新潮新書(2008)


痴呆は本当に不幸かどうかを考える。

日本人は迷惑をかけるから痴呆を嫌い、
西洋人は自律性を失うから痴呆を嫌う。
この対照が面白い。

老人科専門医によると、
頭を使い手足を動かしていれば
ぼけるのを防げるというのは単なる俗説らしい。
意外だな。

痴呆は問題なのか?
中心症状と周辺症状を分けると、
痴呆は周辺症状がなければ平和共存できるという。
精神症状=周辺症状の発現は人間関係の悪さに由来する。
地域社会と家族次第では痴呆は問題にならないのだ。

アメリカの高齢者医療の実態。
86年アメリカのナーシングホームでは、
1/4は入所1ヶ月以内に、1/2は半年以内に死ぬ。
2004年の研究によると、
半年以内に死亡と推定されたのは1%だったのに、
実際は71%が死亡した。
どうやら終末期患者は医療的に放置されているという。
痴呆老人は人間と見なされず治療されないのだ。

少々知識に問題があると思われる部分。
ウトゥク・エスキモーや南太平洋のある地域では
怒りが認められないとし、
感情に文化を超えた普遍性はないという。
これは明白に間違い。
そうではなく、怒りに相当する言葉が違うだけなのだ。

アメリカ人は他者を超えたときに幸せを感じるが、
日本人はみんなと何かを成し遂げたときに幸せを感じるという。
これもおそらく単なる翻訳ミス。
Happy=幸福として質問し比較しただけだろう。
アメリカ人にどんなときにhappyか聞けば、
どんなときに喜びますかと聞くのと同じであるから、
成功体験を答えるのは当然である。

ローマ帝国の4割は奴隷だったが、
日本は10世紀の延喜格に奴婢解放令が出ている。
アメリカの奴隷解放令は19世紀と遅いことを比べ、
日本社会の特徴を述べている。
……関係ないだろう。
中国の奴婢解放令は1世紀に出てるし。

・今日の一言
頭を使い手足を動かしていればぼけるのを防げるというのは単なる俗説です。
It's just a popular belief that using the brain or exercising the arms and legs prevents senile dementia.
머리를 쓰거나 손발을 움직이거나 하면 치매에 걸리는 것을 방지할 수 있다는 생각은 단순한 속설입니다.
动脑筋或者做运动防止老年痴呆症,是世俗之说而已。

タグ:新潮新書
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