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日本の刑罰は重いか軽いか(集英社新書) [本(法律と犯罪]

『日本の刑罰は重いか軽いか』
王雲海(法学)
集英社新書(2008)


日米中の刑罰比較論。
米中より日本の司法がましとわかる。

民事裁判は有罪推定で50%を超えると有罪。
刑事裁判は無罪推定で120%証明できないと無罪。
だから刑事で無罪、民事で有罪ということもある。

米国の刑事事件の90%は司法取引。
裁判にならない。
残りの裁判の半分が陪審裁判。
陪審裁判は20分の1でしかない。

日本の99%の有罪率の問題。
これは米国のお粗末な刑事司法手続きを前提に見るための異常さ。
日本の刑事司法は精密で優れているのだ。

2004年度殺人検挙率比べ。
日本は94.5%、米国62.6%、中国は自称91.4%。
日本の警察が一番頑張っている。

中国では小さな罪は犯罪ではない。
中国では公務員1ヶ月分の給料以上を盗まないと窃盗罪にならない。
不問か、行政処分か、叱責か、示談である。
そのため中国人には小さな違法行為で警察に通報するという考えはない。
まあ、通報しても何割かは謝礼として警察に取られるしね。

中国の刑罰は経済犯罪に重い。
中国で永久機関を発明したとしてお金を集めた男は死刑になった。

中国人の基本的な考え方。
殺人償命。人を殺したら命をもって償え。
シンプルである。

中国の裁判官の任の重さ。
中国では死刑執行を指揮するのはその死刑を宣告した裁判官という。
大変だわ。

日本は、法律上は無罪推定罪刑法定だが、
社会上は有罪推定罪刑不法定。
刑罰そのものより重い社会制裁がある。
そのため重い犯罪への刑罰が軽く、軽い犯罪への刑罰が重い。
これはマスコミの問題でもある。

米国は、知能犯や軽犯罪の刑罰が重く、
道徳犯罪や重罪への刑罰が軽い。
意志を重んじるからかな。

司法と政治の違い。
法の基本原理は人権、個体権利。
それはときに民主主義と対立するのだ。
多数決でなく論理に従うのが司法である。

この本の疑問点。
日本の死刑と正統性競争について文化から説明しているが、
ほとんど意味不明で了承し難い。

明らかに勘違いと思われる部分。
刑事司法、刑罰、犯罪者を主役とする修復的司法は、
中世の復讐社会へ引き戻すという。
これはひどい事実誤認。
修復的司法の主役は被害者と地域社会であるから正反対である。

『インターネットの法と慣習』
白田秀彰(情報法、知的財産権法)
ソフトバンク新書(2006)


ネットに政治的議論の場をもたらす。

日本とアメリカでは法律の重みが違う、
日本の法律は重いのだ。
日本はアメリカの真似をしてはいけない。

電子投票を導入すれば日本の政治はがらりと変わるという。
投票率の低い若者にこそネットユーザーが多いからである。

・今日の一言
杀人偿命。
人を殺したら命をもって償え。
If you killed someone, you need to die in order to pay for it.
사람을 죽이면 죽음으로써 속죄해라.

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