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失われた動力文化(岩波新書) [本(科学史/医学史]

『失われた動力文化/平田寛/岩波新書/1976』
著者:古代・中世の科学史
評価:車輪、畜力、水車、風車の歴史

"人生は短く芸術は永し"はヒポクラテスの言葉。
この時代は技術と芸術は区別されていなかった。
技術と芸術がはっきり区別されるのは19世紀からだそう。

古代西洋は奴隷制の時代。
アテナイては、自由市民の2-3倍の奴隷がいた。
ただし奴隷の労働量は自由人の半分しかなかったという。
働かされるのでは、やる気が出ないものね。

エジプトとメソポタミアの巨像を運搬する絵が壁画にある。
しばしば古代の巨大建築物は作り方が謎と言われるが、
ちゃんと絵に残っているのだ。

騎兵隊の誕生は、前9世紀のアッシリア。
ただしその頃の騎馬隊はそれほど威力がなかった。
重大なのはあぶみの登場。
あぶみこそ騎士に安定感を与える。
あぶみがないと両足の力で馬の腹を締めなければならなず、
武器は腕力のみなのだ。
あぶみの発明が槍や弓を思う存分使えるようにしたわけである。

これ……実は懐かしい話題で。
でも当時どう説明すれば説得できるのか、
よくわからなかったんだよなあ。
中国でもこのあぶみの登場と騎馬隊の戦闘力の増加は対応がある。
三国、南北朝、唐とあぶみの完成とともに騎馬戦が発達するのだ。

奴隷と貧民の仕事をなくさないために、
水車の使用を禁止した1世紀のローマ皇帝。
何だか一種の貿易保護みたい。
お役所仕事ってこんなのが多いと思う。

『科学の歴史/島尾永康,編/創元社/1978』
著者:科学史、科学思想史
評価:資料・まとまり悪い

魏伯陽の周易参同契は、易の思想の化学。
鉄の鋳造は、西洋は14世紀に始まったが中国は前513年である。


『錬金術/吉田光邦/中公新書/1963』
著者:科学技術史
評価:東西の錬金術を比べる科学史

後漢、西暦150頃に書かれた周易参同契は、
西洋のエメラルド表と類似している。

周易参同契のもとネタは火記六百篇、
これはゾロアスター教の経典らしい。
始皇帝はゾロアスター教、アベスタの教えを禁止していた。
ペルシア文化とペルシア人はこの頃既に中国に来ていたらしい。

東西の技術発展に影響したガラス器具の採用と不採用。
東洋ではガラス器具が発達しなかったが、
西洋ではガラス器具により、さまざまな科学実験が行われた。
こうした微妙な違いの積み重ねが歴史を動かしていくのである。

『全国医薬史蹟ガイド/山川浩司/薬事日報新書/2004』
著者:有機化学、薬史学
評価:日本の医薬史蹟ガイド・資料

中医の処方箋は数種の生薬とその量のみ記されるらしい。
家で自分で煎じて飲むわけ。

中国は日本の数倍の量が処方される。
これはどうも水質の違いらしい。
溶解度が違っていて、中国の水は溶けにくいようだ。

『物理と数学の不思議な関係/マルコム・E. ラインズ/早川文庫NF/2004』
著者:理論物理学、固体物理学
評価:物理学における数学の話

カントールの棒が易の図に似ているのが面白い。
易は数学的なのかな。


・今日の一言
Life is short, and art long.(Hippocrates)
人生は短く芸術は永し。(ヒポクラテス)
인생은 짧고 예술은 길다.(히포크라테스)
人生朝露,艺业千秋。(希波克拉底)

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