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混沌の海へ-中国的思考の構造(朝日選書) [本(科学史/医学史]

『混沌の海へ』
山田慶児(中国医学史、科学史)
朝日選書(1982)


中国人が歴史的にどのような思考法を持っていたか知る。

geometryを幾何学と訳した中国人。
幾何とは量を問う疑問詞である。
形を量で理解したのである。

儒教の正体。
儒教はあらゆる思想を飲み込んで成長した。
儒家こそ雑家である。
道家の自愛、墨家の兼愛に対して儒家は別愛=仁。
さらに仏教を吸収した儒学が宋学、宋明理学である。

左伝の子どもの命名法
信:名前をもって生まれてくる
義:徳にちなむ
象:容貌が似たものにちなむ
仮:誕生日にちなむ
類:父親にちなむ
いやちょっとオリキャラの命名法を考えていたもので。
役に立つかなと。

章炳麟の対象に迫る方法。
普遍的なことに目をくれずひたすら特殊なものを追求すること。
そうすれば普遍的なものを発見できる。
真理は細部に宿るというわけ。

中国を訪問したジョスイット。
中国人は幾何学の問題を演繹によってでなく帰納によって解くと驚いた。
すべてを実例から考えるのが中国的思考。
中国人の思考パターンは科学的というより技術的。
技術態的発想法、技術モデルをとして考えるのだ。

中国の代数学的天文学とギリシアの幾何学的天文学。
世界で始めて合理的な十進法の位取りと表記法を発明したのは中国。
しかし中国人には演繹思考と幾何学的精神が欠如していた。

プトレマイオスは、
船が帆先から見えることで地球が丸いと知った。
だが実はこれは、あらかじめ地球の概念があってこその発見なのだ。
仮説がなくては見えるものも見えないのである。

確かに中国人には仮説を立てるという思考法がなかったように思う。
東洋医学にしろ仮説を立てずに、
既存の陰陽五行説に依ってしまうのだ。

・今日の一言
中国人は幾何学の問題を演繹によってでなく帰納によって解く。
Chinese solve problems of geometry by induction, not deduction.
중국인은 기하학의 문제를 연역 아니고 귀납으로 풀다.
中国人不是用演绎法而是用归纳法解答几何学问题的。

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