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食糧争奪-日本の食が世界から取り残される日 [本(農業と環境]

『食糧争奪/柴田明夫/日本経済新聞社/2007』
著者:丸紅産業調査部
評価:人口30億のBRICsの発展がマルサスの悪夢を呼び出す

世界経済の仕組みは大きく変わった。
世界経済の成長が人口8億の先進国から人口30億のBRICsへ。
人口大国の経済発展が食糧不足を呼び込んでいるのだ。
食生活の地球規模の変化が起こっているのである。

穀物市場の特徴とは?
穀物市場の脆弱性。生産量に対して貿易量は10-12%しかない。
そのため生産国の生産変動が増幅されて貿易量が変化する。
また主要輸出国が少なく、主要輸入国も少ない。
工業製品や資源とも違っているのだ。

資源と食料の関係。
米国のガソリン自動車は、エタノール混入率30%。
トウモロコシで走る時代が近いのだ。

肉を食べない大国インド。
インドの肉消費量は一人当たり年4kg。
世界平均32kgの1/8である。

農地の比率は国ごとに大きく異なる。
インドの国土面積の半分が耕地。
日本は12%、中国は10%である。
イギリスは70%以上である。

中島千尋の兼業農家雑草論。
兼業農家は雑草なので駆除しなければならない。
本物の農家を苦しめているのである。

日本農業の問題点。
日本の270万ヘクタールの水田で、
作付けされているのは170万ヘクタールに過ぎず。
食品産業の食品残滓は、飼料として再利用されているのは17%。
まだまだ改良点が多く残されている。

『日本の農業を考える/大野和興/岩波ジュニア新書/2004』
著者:脱WTO草の根キャンペーン事務局長、農学
評価:政治的意図がはっきり含まれており客観的とは言い難い

モンサント社とは、農薬・種子・医薬品の化学会社。
多国籍アグリビジネスの一つ。
農業も多国籍企業の対象となっているわけ。

大豆は世界の作付面積の62%が遺伝子組み換えによるもの。
遺伝子組み換え食品は相当に広まっている。

日本の農薬使用量はアメリカの9倍もあるらしい。
湿潤なので虫がつきやすいのだろう。

環境ホルモンの恐怖も訴えている。
ただこれは既に否定されたのではないかとも思う。

アメリカ政府は、不足払い制度を復活した。
市場価格が生産費以下になったらその差額を補填する制度。
農業という産業が持つ、
独特の不安定性を解消する制度は必要だと思う。

『砂漠化ってなんだろう/根本正之/岩波ジュニア新書/2007』
著者:植物生態学
評価:砂漠化のしくみを知る

新宿三丁目の緑比率は3.4%は砂漠と変わらない。
東京砂漠はまさに真実なのだ。
植物が自然景観の中心にならないと広義の砂漠に入るらしい。

植物の種類。
C3植物、陸上植物の90%。
C4植物、トウモロコシなど。高温と乾燥に強い。
CAM植物、パイナップルなど。乾燥に強い

環境破壊のパターン。
灌漑農業で塩類蓄積。アラル海やカスピ海が有名だ。
過放牧や森林破壊もある。

自然破壊による砂漠化もある。
足尾銅山をグーグルアースで見るとはっきりわかるらしい。

『フリーという生き方/岸川真/岩波ジュニア新書/2007』
に出てきた印象的な言葉を思い出す。
収穫は人生でたった50回しかない。
そして収穫できたのは38回だけで、
その他は台風や虫で失敗したという。
農業はまさに博打なのである。


・今日の一言
兼業農家は雑草だから駆除しなければならない。(中島千尋)
Part-time farmers are weed, so we have to exterminate them.(Nakajima Chihiro)
겸업 농가는 잡초이기 때문에 뽑아내야 한다.(나카지마 지히로)
兼业农户是杂草,所以应该都清除。(中岛千寻)

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Precariat-revolution

難しいことよりも、
衣食住のうち、

まず、住む場所が奪われ、
次に食べるものがなくなる。

そして、着るものは最後になくなる。

貧困が暴力を生まない、
不思議な国。日本。
by Precariat-revolution (2008-01-30 20:46) 

岸川真です

引用などまでいただいて拙著を書いた
甲斐がありました。
ご健筆を祈ります。
by 岸川真です (2008-03-10 21:38) 

Kay-akira_Hirota

こちらこそ。面白い本で参考になりました。
by Kay-akira_Hirota (2008-04-06 19:52) 

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