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フリーターにとって「自由」とは何か [本(格差問題]

『フリーターにとって「自由」とは何か/杉田俊介/人文書院/2005』
著者:ヘルパー、障害者サポートNPO法人勤務
評価:フリーターの権利宣言・データ豊富で面白い

日本の自殺率は主要先進国トップ。
世界の自殺者数もまた、戦争死者数や殺人被害者数を上回る。
自殺はマスコミの話題にならないが、
殺人事件などより重大な社会問題であろう。

自殺は自分で選んだから仕方がないというものではない。
自殺者の多くは自己選択を強いられているのだ。

『自殺が減ったまち/本橋豊/岩波書店/2006』
によると、
自殺者の90%は鬱病やアルコール依存であるという。

パラサイトシングル化は、中高年層の既得権益保護の結果。
世代間戦争が始まっているのだ。

日本のパート・アルバイトは一つの身分である。
江戸時代は士農工商……であるが、
現代日本の下層身分がパート・アルバイトなのだ。

これら日本型フリーター階層の問題は、同じく階層の近い、
中高年女性労働者、野宿者、障害者、外国人労働者、
在日、アイヌ、沖縄、児童労働と並行して考えるべきという。

フリーターの増加で日雇労働者の仕事が減少した。
派遣労働者は日雇労働者より格安なのだ。
派遣がいかに安く買い叩かれているがよくわかる。

世界のホームレス事情。
アメリカの2000年のホームレス経験者は350万人。
イギリスやフランスの野宿者はそれぞれ80万人。
モスクワには10万人のホームレス。
そして2002-3年の冬に9330人が凍死したという。
貧困層の悲劇はまた形を変えて現代に繰り返されているのだ。

世界の児童労働者は2.5億人。
子供の兵士は30万人。
そして現代の奴隷は2700万人以上。
奴隷の問題は過去の問題ではない。
しかも日本は奴隷売買の大国である。

世界の貧富の差。
世界の大金持ちトップ3は、最低収入の国の6億人のGNPより多い。

リバタリアンの考え。相続権の完全廃止。
これは私も賛成だ。相続権には、論理的な正当性がないと思う。

平等の難しさ。
一つの平等は、常にその外側に平等に取り扱われない他者を生み出す。
平等にするとは、ある範囲を決めて平等にすること。
その範囲から漏れた他者は平等から取り残されるのだ。

フリーターに関する20のテーゼはなかなかに迫力がある。

著者にはブログがある。
いちヘルパーの小規模な日常
本の紹介もある。
■[フリーターにとって「自由」とは何か]4刷

・今日の一言
一つの平等は常にその外側に平等に取り扱われない他者を生み出す。
An equality always produces the people who are not treated as equals its outside.
한 평등은 항상 그 외측에 평등에 처우되지 않는 남을 만들어 낸다.
一个平等经常其外边造成不平等的人。

タグ:杉田俊介
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