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憎悪の宗教-ユダヤ・キリスト・イスラム教と「聖なる憎悪」(新書y) [本(哲学思想]

『憎悪の宗教』
定方晟(印度哲学)
新書y(2005)


仏教学者のユダヤ・キリスト・イスラム教の批判。
野心作。

著者は、ユダヤ、キリスト、イスラム教を
敵の存在を吹き込むヤルダバオトの宗教と呼ぶ。

仏教の考えとの違い。
菩薩は、布施をすると地獄行きと言われると、
布施を受けるものはどうなるか問うた。
すると布施を受けるものは天国に行けると回答される。
菩薩はならば布施を続けましょうと答えた。
他者を救うことが菩薩の道である。

汝の敵を愛せという言葉。
汝であって神ではない。神の敵を愛せではない。
神の敵は殺してよいのだ。

キリスト教の教え。
自分のして欲しいことを他人にせよ。
まさにイラクでの民主主義の実行がそれ。
自分の欲しいと思うことは他人も欲しいと思って疑うことがない。

幸徳秋水の聖書の感想。
旧約聖書の神は残虐猛悪だ。
新約聖書の教えは神の奴隷たることだ。

聖書を読むと、
神とは難癖をつけて人を苦しめるのが趣味と思えてしまう。

仏教徒は言葉を方便と考えるが、
キリスト教徒は聖書を絶対視し言葉に拘束される。

イエスの言葉は闘争的だ。
"平和をもたらすために私がきたと思うな
平和でなく剣を投げ込むためにきた"

マホメットにしろモーゼにしろ、
みな闘争的な戦いの発言が多い。

敵が地獄で苦しむ光景を想像するから信仰に励むだという。
そして世の中にはルサンチマンを恥ずべきものと思わず、
神慮と納得する人がいるのだ。

聖書の中はまさに嫉妬と憎悪に満ちている。
神話なのだから当然である。
日本書紀や古事記の世界に似ている。
古代の部族闘争の神話がそのままなのだ。

しかし問題は、聖書が宗教の聖典であること。
これらを絶対視することで、無意識に敵意を育んでしまう。

そしてこれは心理学の研究でも指摘されている。
『神は妄想である』
に、ジョージ・タマリンの研究が紹介されている。
聖書のエリコの戦い。
ヨシュアの命令で町の生き物をすべて滅ぼすシーン。
子どもに道徳的に正しいか問うと、
"全面的に正しい"と答えた子どもは66%に及び、
"全面的に不同意"としたのはたった26%でしかいなかったのだ。

『世の中がわかる「◯◯主義」の基礎知識』
吉岡友治(比較文学、演劇理論)
PHP新書(2007)


辞書ではなく随筆集。

ロールズの無知のベール。
自分のことを全く知らないとすればどんな社会がよいか。
最も自分の能力が低く立場が悪いと考えて、
社会保障の社会を求めるはずとする。

原理主義とは?
聖典に書いてあることが実行されていないのは現実の方が間違っている。
怖い考え方だと思うが、こういう人は確かにいるものだ。

プラグマティズムや近親婚禁止の理由について、
説明が安直で、正しく理解しているように思われなかった。

神秘体験の簡単な方法。
手を上に挙げたまま15分間、強く呼吸しながらジャンプを続ける。
こうすると、目の前に鮮やかや幻像が見えるらしい。
どこかの教祖が信者に実行してそうだ。

『神話の力』
ジョーゼフ・キャンベル(比較神話学)
早川書房(1992)


神話とは何か、
それはどのようなことを教えるかを知る

あらゆる神話の基本テーマ。
見える次元を支えている
見えざる次元が存在すること。
日本人は見えない次元に対する認識が
弱まっている気がするな。

儀式の役割は日常性から人を引きずり出すこと。
日常的で親しみやすくては駄目。
日本の成人式とか問題が多そうだ。

子どもを産むのは英雄的行為。
女性特有の命がけの行為である。

自分にとっての無上の喜びを見つけて恐れずについていくこと。
真の喜びに従うことができれば間違いないのだろう。

自身を抑えつける自我とは、内面にいる竜。

祈りは神秘についての瞑想。

『賢者の石』
F・デーヴィッド・ピート(物理学)
日本教文社(1995)


神秘主義的科学史観。

科学史の本として読めばそれなりに面白いかも。


・今日の二言
汝の敵を愛せ。神の敵を殺せ。
Love your enemies. Kill enemies of God.
그대의 적을 사랑하라. 신의 적을 죽여라.
爱你的敌人。杀神的敌人。

仏教徒は言葉を方便と考える。キリスト教徒は聖書を絶対視する。
Buddhists regard words as expedient; Christians accept the Bible as holy writ.
불교도는 말을 방편이라고 생각한다. 기독교도는 성경을 절대시 한다.
佛教徒认为语言是方便。基督教徒认为圣经是完整无缺。

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