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日本の食と農-危機の本質 [本(農業と環境]

『日本の食と農/神門善久/NTT出版/2006』
著者:開発経済学、農業経済学
評価:日本農業の真の問題を告発する!野心作

すべての問題は日本の土地行政にあり!
土地成金を日本から撲滅せよ!

日本の農業が儲からないのはおかしい。
日本の気候や土壌は植物の生育に適しているという。
日本は狭いが湿潤であり、土地の生産性が高いのに対し、
アメリカやオーストラリアなどは乾燥した荒れ地ばかりである。

日本の農業の特徴は、
優良な農地はショッピングセンターや宅地にも適していること。
そのため、農地を農業で使うより販売する方が儲かってしまうのだ。

高速道路が当たって土地成金が誕生する。
農地の転用収入は農業生産の6割に相当する。
著者は言う。
"日本農業の最大の生産物は農地である"

大規模農家は借地で規模拡大してきた。
しかし農業で利益を上げるには農地価格が高すぎる。
そこへさらに最近の企業の農地所有容認。
企業に買わせるため大規模農家に貸さなくなり、逆効果という。

著者の提示する対策。
農地転用権の入札制度。転用面積の上限を設定するのだ。
さらに農地の課税評価額の自己申告制を導入すること。
そして農地を売買するとき、
売買価格と評価額の差額を譲渡利益と見なし、厳しく課税するのだ。
農地転用の利益を大きくするには、
評価額を高くする必要があるが、
そうすると今度は固定資産税が高くなってしまう。
転用待ち農家に厳しくなるのだ。
真の農家のため、土地販売農家を滅ぼすべし。

これらの法律を作っても、決して財産権の侵害ではない。
公益に反しない範囲でしか財産権は保護されないのだ。
土地は公益性の高い資産であり、既に最高裁の結論も出ているという。

また農地についてなぜ欧米の制度と比較しないのかという。
欧米では農地は日本のように野放しではないのだ。
交通信号や横断歩道の廃止は規制緩和とは呼ばない。
真の自由競争にはルールが必要なのだ。

この本は、
■最近の驚いた記事とか(荻上式BLOG)に紹介されている、
農家切り捨て論のウソ
の著者ということで読んでみました。

日本の土地行政のひどさは農地だけではない。
『高度経済成長は復活できる/増田悦佐/文春新書/2004』
日本経済の発展を崩壊させた最大要因が、土地行政であり、
土地成金こそが日本の癌であることがわかる。

・今日の一言
日本の農業の主要作物は"農地"である。
Japanese main agricultural crop is "farmland".
일본 농업의 주요 작물은 "농지"다.
日本农业的主要农作物是"农田"。

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コメント 2

krause

これは参考になる著作です。時間をみて読んでみます。
by krause (2007-10-21 11:16) 

Kay-akira_Hirota

著者の憤りが強く伝わってくる本です。
by Kay-akira_Hirota (2007-10-23 06:26) 

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