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偽装請負-格差社会の労働現場(朝日新書) [本(格差問題]

『偽装請負/朝日新聞特別報道チーム/朝日新書/2007』
著者:新聞記者
評価:キャノン、松下、クリスタル偽装請負の例

偽装請負とは
・発注側正社員が請負労働者に直接指示命令する
・正社員と請負労働者の同じ職場での混在する
・別々の請負会社の労働者が一緒に作業する

請負労働者は業務を請け負うだけで、指揮下には入らないわけ。

偽装請負を隠すための松下の奇策/裏技
正社員を請負会社へ大量出向させて請負労働者に指示命令。
これなら請負会社が職場だから偽装請負にならないわけ。

あるいは、請負を隠すための技
派遣労働者の数による補助金を受けて4ヵ月で一斉に請負に切り替え。
お金のために、法律の網の隙間を利用しているわけだ。

派遣会社クリスタルの創始者林の創業者利益は800億円。
やっぱり創業者は儲けているなあ……

思うに、労働力は物価とはメカニズムが違う。
物は代わりを買えばよいが、人は労働しないと生きていけない。
働かなければ生きていけないため、
仕事がなければどんなに低い賃金でも我慢せざるを得ない。
労働力が過剰な業種で、自由競争が行われると、
賃金は限りなく0に低下する。
労働分配の民営化で、違法労働が横行するのは当然のことであった。
労働分配を効率化すればするほど給与は下がり続けるのだ。
それまで密航した外国人労働者の条件が、
普通の日本人に与えられることになったのである。

『若者を喰い物にし続ける社会/立木信/新書y/2007』
著者:ジャーナリスト
評価:とほほ本。主旨だけが正しくその他は単なる放言

何だかとても悲しくなる本。ため息が出ます。
だって主張は正しいから応援したいんだけど、
内容は変だし、対策も無意味なものばかり。
同じアジテーションが何度も繰り返されて、内容も非常に少ない。

著者は、今の日本の社会を"ワシワシ詐欺モデル"と呼ぶ。
年長者ひとり勝ちモデルのことである。
著者は以前に世代間最終戦争という本を出しているようだ。
この世代間戦争というのは前から私も思っていたことだ。

最低賃金の引き上げ。1000円にせよという。
まあこれは同感かな。
果たして、雇用総数にどう影響するか気になるけど。
ただ、バイトや派遣、請負などのひどい扱いはましになるかも。

公営住宅には若い世代優先的に入居させよという。
これも良い。20-30代の若い夫婦世代を苦しくすればするほど、
少子化はひどくなるばかりなのだから。

国債の発行について、
巨額の借金返済を迫られる世代として激しく非難している。
まるで今の人が、
未来の子どものお金を使い込んでいるかのような口振りである。

国債というと、将来にお金を返す必要があるから、
今の人が未来の人のお金を使っていると誤解しやすい。
もし日本の国債を買うのが外国人ならばそれは正しい。
それはそのまま将来世代の借金である。

ただし日本の国債を買っているのは日本人である。
だから将来になると、日本人が日本人に借金を返すことになる。
そのことにより、日本人同士に貧富の差が生じる。
国債による借金というのは世代間の不公平の問題ではなく、
同世代間の不公平の問題なのである。
これは国債を発行しているのが国であり私企業ではないからだ。
この本のテーマである世代間の対決とは本質的に別の話なのであるが、
この本を読む限り、著者はどうなのか知らないが
読者が正しく理解できるとは思えない。

『景気と経済政策/小野善康/岩波新書/1998』
を読んで、国債の意味をよく考えて欲しいところである。
国債の発行は、もちろんした方が良いときと悪いときがある。
それも上記の本で理解して頂きたいところである。

少子化礼賛する増田氏はトンデモ説という。
残念ながら、この本がトンデモです……
さらに残念なことに、増田悦佐氏はこの本の主旨に賛成するだろう人物である。

若者対策や福祉については、
『社会保障を問いなおす/中垣陽子/ちくま新書/2005』
に、現実的かつ丁寧に考察した内容がある。
こちらの対策が現実的である。
これはジャーナリストと学者の差なのかもしれない。
ジャーナリストは薄利多売しないといけないから仕方がないのかも。

・今日の一言
正社員は請負労働者を管理してはならない。
Regular employees shall not manage contract-based workers.
정사원이 도급 노동자를 관리해서는 안된다.
正式职员不可以管理承包工人。

タグ:偽装請負
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