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新版 雑兵たちの戦場-中世の傭兵と奴隷狩り(朝日選書) [本(軍事]

『新版 雑兵たちの戦場/藤木久志/朝日選書/2005』
著者:日本中世史
評価:日本中世の戦争の実態を知る・略奪合戦の歴史

兵農分離を今までと逆に解釈。
いつから兵だけで食えるようになったかでなく、
いつから農だけで食えるようになったかと考える。
純粋な農民で食えるようになったから兵農分離できたのだ。

戦場での自由な乱取りは恩賞のない雑兵の士気を高める大切な機会。
雑兵にとって、戦争の目的は戦場での略奪と奴隷狩りなのだ。

当時の手紙に、人をさらって郷里への土産にする武士と、
家族も奴隷を心待ちにする様子が記録される。
本来殺す相手を殺さないのだから、
倒した相手を身ぐるみ剥いで連れて帰るのは
優しい行為とすら認識していた。

出征の季節は晩秋から春。
戦いには季節性がある。
早春から初夏の端境期には食料が欠乏し、死亡者が集中する。
戦争は飢え死にを防ぐための人減らしであり、
食糧確保のためでもあった。

この日本の戦争での人間と物資の略奪を見ると、
日本の将棋の駒の名前がなぜ宝石財宝なのかわかった気がする。
チェスや中国将棋では、取った駒は二度と使えない。
殺し合いの戦争だから、殺したら世界から消えるのだ。
しかし、日本将棋では駒を取ってまた使う。
駒の名前も、金銀や桂香玉のような宝石である。
日本将棋は、物資の分捕り合戦を示しているのだ。
だから、取ったらまた使えるのは当然である。

おそらく温暖湿潤な日本の気候では、戦争による飢饉でも、
山林へ逃げ込むことで、飢饉の程度が中国よりましだったのではないか。
中国の戦争では捕虜が数十万単位で殺戮されることが多い。
食料が不足して養うことができないからだ。
黄河や河川の灌漑施設に依存する中国では、
政権の崩壊と戦争による食料生産の低下が激しすぎるため、
捕虜を取っても養うことができないのだろう。

・今日の一言
兵士たちは奴隷狩りのために戦う。
Soldiers fight for slave hunting.
병사들은 노예사냥을 위해서 싸운다.
士兵为了狩猎奴隶打战。

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