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森林からのニッポン再生(平凡社新書) [本(農業と環境]

『森林からのニッポン再生/田中淳夫/平凡社新書/2007』
著者:森林ジャーナリスト、林学
評価:林業と森の歴史の驚きの事実を知る・良書

日本の今の森林率は67%。
ところが、1891年の森林率は45%と、22%も少ない。
森は戦後に急速に増えたのである。
日本の森林破壊は飛鳥時代より始まり、江戸時代が最悪のピーク。
自然と調和したと言われる江戸時代だが、
こと山間部については自然破壊が最も進んだ時代だったのだ。

緑のダム構想。
森林は水を消費する。木も生物だから当たり前である。
水そのものは禿げ山の方が多いのである。
緑のダムの効果とは、あくまでも流量変化をなだらかにすることである。

温暖化と森林の関係。
木材を腐らせず燃やさなければ炭素として貯蓄される。
木造建築物や木製家具を増やすことが
二酸化炭素削減につながるのである。

人工林は天然林より劣るどころか優れている。
天然林より人工林の方が植物の種類は多いし、生物多様性も大きい。
それは光を効率よく生かせる構造になっているためだ。
でたらめに繁殖する天然林より、
効率よく光エネルギーが配分されているのだ。

世界的にも人工林は非常に多い。
アマゾンのジャングルの1/3~2/3は先住民による人工林だという。

世界の森林事情。
中国の森林率は16.55%である。
1993年は、15.12%だった。その差は日本の面積の1/3に相当する。
古代の森林率53%には遠いが、少しずつ回復しているのである。

驚きはイギリスの森林率。
なんとたったの12%。
しかも20世紀初頭は3%しかなかったという。凄まじい自然破壊である。

ドイツの人口林面積1000万ヘクタールで日本とほぼ同じ。
しかし、木材生産量は3倍であり、林業はGDPの5%を占めている。
日本の林業も潜在的にはドイツに匹敵する力があるはずである。

実は、外国の材木は日本の材木より高い。
90年代に価格が逆転したのだ。
輸入の主力はカナダやアメリカで、ヨーロッパも増加している。
途上国から安く木材を輸入しているわけではないのだ。

もともと日本の山村人口は適正値より過剰だったらしい。
ピークは1960年前後である。
過疎が言われる村も、戦前人口は現在よりさらに少ないところもある。
過疎の村には、過剰になった人口が戻っただけの村もあるのだ。

地域の振興が今ひとつ進まない理由に、
実際には困っていないからというのがあるという。
過疎になり老人だけといっても、
都市の老人のように孤独死が続出するわけでもないし、
飢え死にするわけでもないのだ。

・今日の一言
アマゾンの森林の半分は人工林だ。
Half of Amazon forest is artificial forest.
아마존 숲의 반은 인공 숲이다.
亚马逊森林的一半是人工林。

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