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[分析] 日本人の意識構造-自律の欠如とストックホルム症候群 [考えたこと]

■[あれこれ]隣組(思いて学ばざれば)
 mujinさんの問題意識が興味深いので考えてみた。

(テーマ)
 日本人の多くが他律的で、主権者意識に欠けているのはなぜか?

(意見1)
 日本がフランス革命やアメリカ独立のような戦いを経験していないから。
(意見2)
 現代の日本人はいまだに隣組気分を引きずっている。

●基本的なものの考え方
 考えるべきことは、その歴史的事件や組織構造がどのように我々の行動を規定しているのかということ。それがわかってこそ、状況を改革することができる。

 人間行動を規定するものは先天的な遺伝子と、後天的なものに分けられる。
 先天的な遺伝子は、日本人だろうがアメリカ人だろうが大差はないので無視する。
 後天的に子どもの行動を規定するのは、a.教育である。
 後天的に大人の行動を規定するのは、b.宣伝(メディア)である。
 教育は、a1.家庭教育、a2.地域教育、a3.学校教育に分かれる。

 a1.家庭教育、a2.地域教育、a3.学校教育、b.宣伝(メディア)、それぞれを検証して、どこに原因があるか分析し、どのようにして主権者意識を育てるのかという問題になる。

●考察-宗教の欠如
 宗教や倫理などの行動の善悪を直接指示するタイプの教育が存在せず、価値を教えることをしない。大人が子どもに価値基準を与えない。日本でいうと戦前の教育勅語などもここに入る。
 これはむしろ欠如していることによるプラス面の方が多いと思われる。

●考察-自己責任論の虚妄
 自己責任論が、"他人について責任を持つ必要はない"という意味で使われていないか。当たり前だが、私たちは自分の行動だけでなく他人の行動にも責任がある。上司は部下の行動に責任があるし、親は子どもの行動に責任がある。あるいは、自立した友人同士であっても、相手の行動には一定の責任が生じるのだ。自分の行動しか責任を取らなくて良いのは未成年だけである。

●考察-平等意識による誤謬
 "他人に迷惑を掛けない"とは、人間が対等であることを含意していないか。あるいは人間が個人として孤立していることを含意していないか。弱い者が強い者に頼り、迷惑をかけるのはむしろ当然のこと。日本では"甘え"という言葉があるはずだが、"甘え"が許されない風潮になっていないか。

●考察-リーダーシップ教育の欠如
 無責任発言とは、たいていがリーダーなら決して言わない発言である。
 無責任発言する者には、人の上に立ち人を指示する、あるいは人の前に立ち人をひっぱるという経験が少ないのではないか。
 学校において教育として、生徒全員交替で、集団に対して場を"しきる"練習をさせると効果的かも。自分自身だけでなく、他人を巻き込む形で決断をすることでこそ強い主権者意識が生まれるのではないか。

●考察-意図よりも結果を評価する傾向
 意図よりも結果を評価する傾向。あるいは意図を無視する傾向。イラクで捕まった三人に対するバッシングなどは、意図を評価せず結果のみを評価する現れとはいえないか。現地での活動の意図を評価せず、人質となったという結果を評価する。人間を意図でなく結果で評価するのはなぜか。
 背景に不信の連鎖があると思われる。マスコミの誤報とそれに対する訂正のまずさなどが、不信を広げて、意図より結果を注目させる傾向を生みだしているのではないか。
 これはまた近年の、犯罪に対する過失を容認しない傾向とも連動すると思われる。

●考察-ストックホルム症候群
 ストックホルム症候群とは人質が犯人に同調して、積極的に協力するようになることである。自分の生命を握る敵対する存在と同化してしまい、その場の支配者に同調し協力するのだ。
 これは、支配者に同調することで、現状における自己の不快な無力感から目を背け、有能感を味わうことができるからである。銃口を突き付けられ、いつ死ぬかわからず、あらゆる行動に自由がないという徹底的な無力感に耐えられないのだ。これは葛藤を直視できない人間の典型的な行動パターンであり、心理学的には普通に理解可能な現象である。
 ネットやメディアで激しくバッシングを行う勢力と、類似性があると思われる。自らの行為が制御されており行動の選択肢が少なく、閉塞感と無力感を持つ人たちである。
 自らに強い無力感を持つ人間が、支配者に同調することで自らの有能感を回復しようとしているのではないか。そもそも有能で忙しい人間は、あれほどネットやメディアでアピール行動をしないだろう。

●(意見1)について
 独立や革命により、新しい憲法と教育体制が生まれ、それにより主権者意識が育てられている。日本には教育体制を大きく変える事件がなかった。

●(意見2)について
 これは日本の地理的構造が生み出したものと見る。山がちの地形と島による孤立が人間の移動を妨げ、小規模集団が長期に安定的に存在したため。こうした村レベルの帰属意識が会社への帰属意識へと発展したと言われる。

●診断結果と治療法
a1.家庭教育
 責任意識を育てるには、責任ある大人の行動を見る必要がある。それには、リーダーとして責任ある振る舞いをする大人が必要であるが、友達親子など平等関係の付き合いでは責任意識が生まれず、子どもが責任を学ぶ機会を得られない。親が親として振る舞うこと、子どもの行為に責任を負う親が必要である。

a2.地域教育
 地域教育の影響力が低下し、リーダーシップ経験をする機会が減っている。ただし地域活動におけるリーダーは固定されがちであり、隣組としての無責任行動を呼び出す危険がある。現代において地域活動の強化は一長一短である。

a3.学校教育
 学校における平等教育は、自律ではなく他人との孤立性を生み、責任意識を弱めている。他者へ責任を負うことを経験することで自律を学ぶ機会を作るかもしれない。道徳の授業として、リーダーシップ学習を行い、すべての生徒にリーダー体験を持たせてはどうか。

b.宣伝(メディア)
 自己責任という言葉が、他人に対してはすべて無責任でよいとする誤った認識を広めている。責任とは孤立したものではないことの認識を広める必要がある。
 間違った情報について十分な訂正を行わないためメディア不信を広げ、それが意図よりも結果を見る風潮を育てている。メディアは誤報道をなしたとき、しっかり謝罪することが必要である。

 まだ全体に考察が甘い感じ。違和感が消えない。またもう少し考えたいと思う。

コメント(3) 
共通テーマ:日記・雑感

コメント 3

>人は自分の行動だけでなく、自分に関係する人間の行動にも責任を負わねばならない。

おっしゃるとおりですね。
by (2007-08-08 07:06) 

追記

私のブログの■行動する良心■をお読み頂ければと存じます。
by (2007-08-08 07:08) 

Kay-akira_Hirota

言うは易く行うは難し。
Virtue is praised by all, but practised by few.
말하기는 쉬워도, 해보니 어렵다.
说起来容易做起来难。
ですね。
by Kay-akira_Hirota (2007-08-08 23:53) 

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