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幾何学 空間と形の言語 [本(数学]

『幾何学 空間と形の言語』
ジョン・タバク(サイエンスライター)
青土社(2005)


幾何学の歴史。
縦書きのわかりやすい数学史。良書。

しかし、はじめからの数学、
というシリーズタイトルは誤解を招きそう。
まるで数学の教科書みたいだけど、
数学そのものの本ではなく、
あくまでも縦書きで組まれた
数学史の本である。

シリーズ全五冊いずれも面白そうだ。
それぞれが分野ごとの数学史にわかれているのが、理解しやすそう。

幾何学的は一群の動かし方をしても変わらない性質を扱う。
その動かし方で幾何学は定義される。
◯◯幾何学は△△という動かし方の幾何学というわけ。

エジプトで発達した幾何学。
ナイル川の氾濫とその洪水の後に、
土地の境界と税額確定のため測量が必要だった。
社会が数学を求めたわけだ。
ナイル河の測量士、数学者は縄を延ばす人と呼ばれた。
12に等分の目盛り入りの縄で、3・4・5の比の直角三角形を作って、
計測したのである。

弟子のプラトンは数学好きなのに、ソクラテスは数学嫌い。
ソクラテスは、1+1が2になることに納得できなかったという。
それはいくら何でも疑い過ぎだよなあ。

数学史上最大のベストセラーは、エウクレイデスの『原論』
つか、ユークリッドでいいじゃん。

公理は互いに矛盾してはいけない。
公理は論理的に独立でなければならない
正しい定理はすべて公理から導かれなければならない
『原論』の思考法は、数学だけでなく論理思考の基本だ。

ユークリッド幾何学は、回転と平行移動の集合。
長さと角度は変わらない。
ユークリッド幾何学は射影幾何学の特殊分野。
射影幾何学では角度は保つが長さは変化する。
とすると、一番大きなカテゴリーは位相幾何学だろうか?

代数と幾何を結びつける橋、それが座標。
座標があることで、幾何学を数学で表現できる。

デカルトの人生経験を求める10年の旅に出た。
自分自身をまさに疑う旅に出たんでしょうか。

ネーターの発見
エネルギー保存とは時間に関する対称性。
エネルギーにとっては過去も未来も同じなのだ。

気になるのは、同じもののはずなのに、
いちいち公理と公準と表現するのがは紛らわしい。
訳のミスなのか、原著のくせなのだろうか?

後、横書きのコラムも章末にまとめた方がよかったような。
これほどわかりやすい数学の本も少ないので少し残念なところ。

『代数学 集合、記号、思考の言語』
ジョン・タバク(サイエンスライター)
青土社(2005)


良書。代数学の歴史。
インド、イスラム、中国、日本も登場する。

電卓の平方根の計算は、
メソポタミア人が使った方法と同じ。
何と、数千年前の方法がそのまま通用するのだ。

厳密な答えと近似な答えを区別したギリシア人。
実用を考えると近似で十分である。
ギリシアが哲学の始まりと言われるのも、
実用より真理を求めるからである。

代数を幾何的に考えると、
2つの変数xとyの積は長方形の面積xyとするもの。
しかしデカルトは、第三の線分の長さxyを表すと考えた。

デカルトの掛け算
三角形ABCに相同な三角形DBEを考える。
線分AB=単位長1とする。
線分ACと平行な線分DEをひく。
線分AC:1=線分DE:線分BD であるから、
線分ACをxとし、線分BDをyとすると、
x:1=線分DE:y となり、
xy=DE となる。
xyは線分DEの長さとなるわけ。

図がないとわからないよな……

多くの数学者は語学が得意らしい。
理系には語学の達人が意外に多い。

・今日の一言(ソクラテス)
1足す1が2だなんて納得できないぞ。
I cannot accept that 1 plus 1 equals 2.
1 더하기 1은 2다니 납득할 수 없다.
我想不通"一加一等于二"。

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