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滑稽:古代中国の異人たち [本(東洋史]

『滑稽:古代中国の異人たち』
大室幹雄(歴史人類学)
岩波現代文庫(2001)


面白いような、単に言い換えただけのような……

エリアーデ、ジンメル、バタイユなどを使って分析する。
フランス現代思想系統の中国史研究かな。

『孟子』を孟軻の自叙伝と読む。
孟子は自叙文学の創始者という。
諸子を自叙文学と見るのは面白い考え方だ。

趙の胡服騎射の15年以上前に秦では騎射を採用していた。
胡服騎射はもともと胡服に重点があるからね。

趙の武霊王の言葉に"胡地の中山"というのがある。
中山はやはり遊牧民の国のようだ。

けばけばしい異相を好む趙の武霊王。
貝細工の華美な帯と華麗な鳥の羽根を冠に挿す婆娑羅者。
武勇の豪傑はみんな異相が好きなんですね。
戦場における象徴なので目立たないとダメなんです。

『漢書』の江都王建の悪行三昧。
近親相姦、サディズム、獣姦、黒呪術と何でもありでついに謀反して死亡。
無茶苦茶過ぎて凄まじい。
人間を殺すのにまるで虫を殺すような扱いなのが強烈である。

孔子の学団はほとんど演劇一座だ。
礼の練習では芝居小屋に見物人もいたはずという。
それは歌舞劇みたいなものらしい。

宮崎市定の『史記』の読み方と比べると面白い。
宮崎氏は、『史記』に演劇の台本を読みとっている。
すなわち司馬遷は執筆に舞台演劇の台本を利用したとしているのだ。
対して大室氏は、
『史記』の舞台演劇的場面を、
そのまま舞台演劇的な世界だったとしているのだ。

あとがきの山形浩生
戦国遊説家は経営コンサルタントとのこと。
言われてみれば同じ仕事だな。
それでこの手の本を読むのも経営者なわけだ。

『漢代の文物』
林巳奈夫(中国古代の考古学)
京都大学人文科学研究所(1976)


当時の生活がビジュアルにイメージできる辞典。

踠下という厚底靴。
10cmぐらいありそうだ。女性はこういうが昔から好きみたい。
エジプトでも厚底靴は流行っていた。
でも、ハイヒールはないみたいだ。

天子の妾。生理の女性は丹で顔面に点をつけるらしい。
皇帝はそれを見て、その妾の順番を飛ばすようだ。
天子の妾は、
男女関係というより国家のための仕事だから大変だ。

六博というゲーム。
組に分かれコマを進め近接してお互いに迫る。
梟になって倍勝ち
あるいは梟は相手の梟を殺せる。
ルールがよくわからないが、
何となくそのムードは、韓国のユンノリのような感じがする。
棒状のサイコロを数本まとめて投げるところなどそっくりだし。

枇杷は西域より伝わった楽器。
馬上で演奏したらしい。
バチは使っていなかったそうだ。
旅芸人とか使ってそうだ。
琵琶法師か……でも仏教はほとんど伝来してないか。

箜篌という楽器は、古代の師延の創作。
ハープのようなものらしい。
淫靡な楽器と呼ばれていた。
確かに何かハープって色っぽい感じがするね。なんでだろう?

『歴史物語 朝鮮半島』
姜在彦(朝鮮近代史・思想史)
朝日新聞社(2006)


韓国併合までの歴史・まずまずの出来か。

少し不満なのは、秀吉の朝鮮侵攻ときには明軍の援軍が来ているのに、
その詳細がほとんどわからないこと。
これは、あくまでも朝鮮が撃退したと印象づけたいためか?

日本への元寇は元・高麗連合軍だが、
その高麗軍の内訳もあまり記載されていない。

また、朝鮮は清に大敗を喫したことが何度かあるはずだが、
全く記述されていない。

このあたり、歴史記述としての公平さに欠けると感じた。

唐太宗を撃退した安市城主は名前が伝わらないが、
梁万春あるいは楊万春とされるらしい。
名前が伝わらないのにどうしてわかるの?

孔子は魯司寇、老子は周柱史、釈迦は竺乾太子と呼ぶ。
敬称かな。

明と朝鮮の朝貢
明は三年一回を朝鮮は一年三回を主張した。
なぜなら朝鮮がもらう分の方が多いからである。
朝貢は中国を主として立てるかわり、経済的には儲かるわけ。

国王も生前の王朝記録の実録を閲覧できない。
史官とは、歴史記述を天に報告するための存在だからである。

仏教信仰した世宗の晩年、学士から批判され孤独だったらしい。
ハングル創設の名君も、晩年は苦労したようだ。

明末に北京を陥落させた李秀民。
李自成だよね? この李秀民って誰? 別名かな?

東学の崔済愚
人すなわち天、天心すなわち民心
(人乃天,天心即民心)
この思想は少し気になるな。

・今日の一言
諸子百家は経営コンサルタントである。
The Hundred Schools of Thought was a management consultant.
제자백가(諸子百家)는 경영 컨설턴트이다.
诸子百家都相当于现代的经营顾问。

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