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よみがえる中国の兵法 [本(東洋史]

『よみがえる中国の兵法/湯浅邦弘/大修館書店/2003』
著者:中国哲学
評価:古代兵法研究の新展開を知る良書

孫子は英語で"art of war"。
戦いの技術書なのである。

銀雀山出土の孫子によると、
12番目の火攻篇と13番目の用間篇の順序が逆と判明したらしい。

さらに竹簡本で判明した部分
守は則ち余り有り攻は則ち足らず。
これは守備は攻撃より有利だということ。

尉繚子:魏の恵王に仕えるた。
始皇帝ではないらしい。『史記』は間違いなのだ。

占雲気書とは、雲気の形状、
様態、規模、位置、時間、色彩、高度、変化を見る呪術的兵法。
これは古来、続いてきた考え方である。
天候が戦況に与える影響を考えたのであろう。
光武帝を運命づけた昆陽の戦いでも、天候が重大な影響を与えている。

孫子:善く兵を用いる者は其の鋭気を避けて其の惰気を撃つ
これはまさに光武帝、王覇、馬成らの用兵である。

『飛竜伝-宋の太祖趙匡胤/小前亮/講談社/2006』
著者:作家
評価:やっぱり単調な戦場描写中心の小説

それも、せっかくの皇甫暉との一騎打ちがこんな演出か……

それでも『李世民』よりはまだ趙匡胤の性格がわかりやすい。
人物描写は前作よりよい。

文章に漢文調の要素が全くないのが気になる。
そのため外国、中国というムードがほとんどしない。
著者の中文力、漢文力というのはどのぐらいなのだろう?

セリフの言葉遣いなど全く青春小説のような感じ。
これも中国、あるいは時代劇という印象がしない。

章の出だしで描かれる風景描写に全く意味を感じない。
とりあえず風景描写から始めるかと、とってつけた感じ。
風景描写とは、風景を描くものではない。
視点人物の情緒を描くものである。
これから起こることへの期待情緒を作るのである。

また全体に緊張感が欠如している。
読者がハラハラドキドキしないのである。
これはなぜかというと、矛盾や対立をピックアップしていないからだ。
これでは状況が安定してしまい、不安定さが感じられない。

趙匡胤を讒言し柴栄との仲を裂こうする人を出して、
柴栄と趙匡胤との間の緊張を描いたりもできるだろう。
戦場においても相手側の謀略を詳しく描くことで、
趙匡胤の危険を描くこともできる。
弟の趙匡義の尖鋭な発言を漏洩させて危機を作ることもできる。

著者は現実にこだわり過ぎているのかもしれない。
小説って難しいなと、しみじみ思う。

・今日の一言
対立と矛盾が小説を面白くする。
Conflict and inconsistency make a novel interesting.
대립과 모순이 소설을 재미있게 한다.
在小说里有对立和矛盾才能创造兴趣。

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